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夜泣き類似疾患

病気に近い夜泣き
2015-07-17作成
2015-07-17Internet公開
2017-08-10 (木) 23:09:21更新
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 ここまで夜泣きについて書いてきましたが、それらの対応策を完璧に行ってもまだ残る夜泣きは、どう考えたらよいのでしょうか。

 病気としての夜泣きをあまり強調すると、親の不安を募らせるだけですので、あまり書かないようにしてきましたが、徐々に認知されてきていますので、このあたりでまとめてみたいと思います。

 基本、正常の夜泣きも、病気に近い夜泣きも起こっているメカニズムは良く似ています。ですから、たとえ、その夜泣きが病気だとしても、今まで述べてきた夜泣き対策をしっかり行っておかないと、病気の夜泣きに上乗せされて起こってきますので、ややこしくなります。ですから、いきなり病気と決めつけず、前述の夜泣き対策はしっかりおこなっておいてください。

 以下に各論を書いていきたいと思います。もっと稀なものもありますが、基本このHPは育児書としての内容に留めたいと思いますので、詳細は、機会があれば書きます。

 根本的に薬で治すという事は、出来ないものも存在しますが、自然治癒していく事が多く、睡眠薬や抗てんかん薬、漢方薬、鉄剤の投与で簡単に消えるものもあります。

睡眠時随伴症(パラソムニア)

 主に入眠初期60-90分に起こる脳細胞の興奮状態です。ノンレム期が多いですが、レム期に起こるものも存在します。レム期に起こる場合は、夢の記憶などが残っています。

 夜泣き対策を十分に行っているにも関わらず、毎晩起こる場合に疑います。
 2歳頃から生じ、5歳頃に消えるとされていますが、15歳で錯乱性覚醒障害の子どもがいましたので、続く場合もあるようですが、後述する睡眠関連癲癇との鑑別も必要になる場合もあります。
 両親や親類に同様の症状を持っている人がいるケースが多いです。

 また、2歳頃まで正常にぐっすり寝ていて突然この病気になる子供もいますが、生後数か月から、ずっと、夜泣きがあって、続いてこの病気に繋がる人もいます。

錯乱性覚醒障害(発生率:17%)

 とにかく、泣き叫んだり、暴れて暴力的になりますが、その時の記憶はありません。

夜驚症(発生率:1-6%)

 同様に泣き叫びますが、基本は、強い恐怖を示し、悲鳴、啼泣、驚愕、自律神経の興奮(多呼吸、頻脈、発汗、散瞳)を示すところが違います。より、扁桃体の興奮が強く出現しています。その時の記憶はありません。

睡眠時遊行症(発生率:17%)

 そこらじゅう歩き回ります。

悪夢障害

入眠後後半から最後の1/3程度に起こります。おびえていて泣く事もありますが、発声、自律神経症状は少なく、運動症状もまれで、基本はすぐ覚醒しますし、悪夢の状況を良く覚えています。

睡眠関連てんかん

 痙攣などが起これば、わかりやすいですが、パラソムニアに良く似ているものもあります。続く場合は、脳波検査に紹介しています。
 入眠後と寝起きに多く、寝起きに起こるものは、特に疑わしいです。

むずむず足症候群

 レストレス・レッグズ症候群としては、成人では有名です。
 著者も、昔、酒とたばこを吸っていた頃、ある時からこの病気になり、禁酒・禁煙によって、消失しましたので、気持ち悪さが良くわかります。(成人の場合は、二次性にも出現します。)

 とにかく、夕方~夜になると、下腿がこそばゆくなって、じっとしていられません。著者の場合は、眠くないのに、夜の9時頃になると、決まって出現しました。最初子供にこの病気は無いと思ってましたが、現にその症状で来院された子供は3歳児で多動のため保健所でフォローも受けていました。

 ドーパミン神経系の異常(不足)による入眠時の止まらない足の動きで、そのために眠れません。喫煙者のムズムズ脚症状が禁煙で改善するのも、ドーパミンレセプター機能異常が禁煙で改善するからです。

 子供は以下のような症状を訴え、足をバタバタします。酷いと泣く場合があります。また、ADHDの合併も多いとされています。脳内鉄欠乏が原因の場合は、鉄剤投与で改善する場合があります。
 しかし、眠れているようなら、自然治癒するので、不投薬で経過観察します。

症状表現のしかた

足が気持ち悪い、虫が這っているよう、こそばゆい、熱い、足が痛い、誰かがさわっている、棘が刺さっているよう

就寝時の行動

足を布団やベッド柵にこすりつける、足のマッサージをせがむ、絶えず動かす、足を掻く、足をさわっている、足が痛いと泣き続ける、不機嫌が続く

※)いわゆる成長痛とムズムズ脚症候群

鉄欠乏(貧血の有無は問わない)

 上記、むずむず脚症候群と同様の機序ですが、脳内貯蓄鉄は、ドパミン作動性ニューロンの働きに大きくかかわっています。鉄欠乏の症状がむずむず脚症候群として表れる子供と、夜泣きやイライラ、泣き入りひきつけ、鬱症状として表れる子供がいると言われています。

 血中フェリチン値が女児で30以下、男児で50以下は鉄剤の服用を試してみる事も有用です。

 医療用鉄剤は吸収が悪く、嘔気や、便秘などの副作用が多く、どちらかというと、サプリメントで売られているヘム鉄の方が良いとされていますが、子供用のものは、見当たりませんので、まずは、医療機関で相談をお勧めします。

ADHD、自閉症スペクトラム障害

 セロトニントランスポーターの不足に伴い、(扁桃体活動を抑制する)抗不安脳内物質セロトニンが不足し、扁桃体過活動を認めやすく、セロトニンを原料に作られるメラトニンも不足するため、概日リズム障害を伴いやすく、夜泣きの原因となります。ただ、前述の夜泣き対処を十分に行えば、かなり夜泣きは減るはずです。それでも強く残る場合は、漢方薬などで対応します。

 ADHDの診断は小学校入学後から可能となりますし、自閉症の診断は酷い人で3歳から、軽い人は、中学生くらいまで診断できませんので、夜泣きが酷いから、これらの病気を小さいうちから考えたところで、なんの得にもなりませんので、診断可能年齢となるまでは、取り敢えず、前述の夜泣き対策に集中しときましょう。

睡眠時無呼吸と多動と不眠

 夜泣きとはあまり関連せず、夜間の酷いイビキを伴う、無呼吸が3呼吸分の時間を越えて続いている児で、日中の多動傾向、朝の寝起きの悪さなどが合併している場合は、閉塞性無呼吸による睡眠不足から前頭葉機能の低下に伴う疳積や多動の原因と診断される場合があります。

 この診断は極めて難しく、一般的な無呼吸検査で無呼吸インデックスが軽度の高値(AHI>1程度)でも多動の原因になっている場合があるそうです。詳しくは、睡眠に詳しい小児科に相談されることをお勧めします。

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