各種渡航ワクチンの予約受付中。輸入ワクチンあります。

あけましておめでとうございます。

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2024年は、コロナ明けや医療DXの進展によるマイナンバーカードと保険の統合、自動精算機の導入、さらに医療法人化など、慌ただしい状況が続きました。
2025年も引き続きさまざまな変化が予想されますので、どうぞよろしくお願い申し上げます。

目次

インフルエンザ予防について

2024年末のインフルエンザ流行は、過去20年でも経験したことのないほど凄まじい速度でした。

個人的には、コロナ明けでマスク着用を控える動きや、ここ数年のインフルエンザワクチン接種者数の減少が影響しているのではないかと考えています。

2024年は、毎年恒例となっている輸入ワクチン「フルミスト」(鼻吸入式ワクチン)が国内承認を受け、どのクリニックでも実施可能となりました。当院では実施数を減らした結果、一部の方が接種できない事態となり、ご迷惑をおかけしました。
また、全体のインフルエンザワクチン接種希望者数はコロナ前と比べて非常に少なく、コロナ明け・マスク着用控えが重なったことで、急激な流行速度をもたらしたのではないかと考えています。

学校での集団インフルエンザワクチン接種が中止された1994年当時は、まだ抗インフルエンザ薬が登場する前でしたが、多数のインフルエンザ脳症を経験し、ワクチンの重症化予防効果を改めて実感した年でもありました。

ここで改めて強調したいのは、インフルエンザワクチンは「罹患を防ぐワクチン」ではなく、「重症化を予防するワクチン」であるということです。

当院では、インフルエンザ予防を以下のように考えています。

特定の数日間(受験など)だけは罹患を避けたい方

自費でタミフルやリレンザの予防内服を、受験日などの10日前から行う

長期的にインフルエンザ罹患を減らしたい方

完全に罹患を抑えることは難しいものの、

  • フルミスト、またはフルミスト接種後2週以降に不活化インフルエンザワクチンを1回接種する。
予防効果はある程度あきらめて、重症化予防をしたい方

不活化インフルエンザワクチンを1~2回接種する。

つまり、絶対に近いくらいインフルエンザにかかりたくない方(特に受験などを控えている場合)は、ワクチンよりも予防内服の方が有効で、受験日が複数散在している場合は、フルミスト+不活化インフルエンザワクチンを行いつつ、最も重要な受験日の10日前から抗インフルエンザ薬で予防内服を始めるのが望ましいでしょう。

なお、個人的見解では、すべての経気道系ウイルス感染症に対し、鼻うがいが予防および罹患期間の短縮に有効だと考えていますので、あわせて推奨いたします。

児童精神科検査枠の拡大

現在、医師の診察予約が6か月待ちとなっていますが、実は発達検査に関しては1年以上先まで枠が埋まっており、ここ1年ほど大きな課題となっていました。限界に達したため、2025年からは検査スタッフを増員して予約待ちを減らす計画を進めています。

当院の発達外来では検査の種類が12種類もあり、大変複雑なため、スタッフが熟練するまでにかなり時間がかかります。しかし、幸いなことにベテランスタッフ3名を追加できそうな見通しが立ちました。いずれも、当院の診療方針に共感し希望して来られた方たちで、非常に頼もしく感じています。今後は、医師が行っているカウンセリングの一部も適宜担ってもらおうと考えています。

院長は和歌山市で唯一の小児科出身の子どもの心専門医・指導医であり、今年は特別支援教育士の資格も取得予定です。今後の和歌山市内の発達障害診療を専門的に行える医師を育成できる立場にあります。その責任を自覚し、より一層この分野に力を注いでいく所存です。

発達障害について

発達障害には、児の年齢に応じてさまざまな問題が複合的に生じることがあります。当院では、以下のようなステージがあると考えています。

Stage0: 発達の遅れに気づかれず、普通に育てられる段階。
Stage1: 他の子どもと比べられることで叱責・軽蔑・回避される段階
  • 不注意
    集中力がない、勉強しない、片づけない、忘れ物が多い…などと指摘され続ける
  • 衝動性
    人の話を聞かない、我慢できない、繰り返しの勉強を避ける、スマホ・ゲームへの過度な依存、約束を破る、人の気持ちに配慮しない
  • 多動
    じっとしていない、集中力がない、いつもソワソワしている
  • こだわり
    親の言うことに反発し、無理に従わせると泣く・怒る・拗ねてどこかに行く
  • 相互関係の問題
    人の気持ちがわからない、興味がない、または考えすぎる
  • メタ認知の問題
    自分の行動を客観的に評価できない

これらがきっかけで、他児との比較から自己嫌悪の感覚が深層心理に刻み込まれやすい時期となります。

Stage2: Stage1の経験が社会生活の中で積み重なり、深層心理に刻み込まれた結果、無意識に社交不安障害が出現してくる段階
  • 不安障害を自覚できる場合は、登校拒否などの行動として表れますが、自覚できない場合は、自律神経失調として症状が現れます。
  • 主な自律神経失調の症状には、起立性低血圧、頭痛、胸痛、腹痛、下痢、悪心・嘔吐、頻尿、過眠、起床困難、不眠、中途覚醒、チックの悪化、爪かみや抜毛などの反復行動の悪化、手の冷や汗、胸の圧迫感、人前で給食が食べられない、脱力による歩行困難などがあります。「学校に行きたいのに行けない」と本人が言う場合は、アレキシサイミア(失感情)という状態である場合があります。この部分の除外診断に小児科医の知識が必須となります。
     特に、失感情については、学校の先生の理解が乏しく、苦労する事が多いです。(「学校で楽しそうに遊んでいるから、不安なんて無いと思います。」と言われて信じてもらえず、児の症状が悪化していくパターンになります。)

     よく、起立性低血圧で、学校に行けないから、血圧をあげれば問題が消失すると考えて受診される方がいますが、投薬で血圧をあげても、別の症状が出るだけの事も多いので、根本原因を探り、環境調節を促す事が重要となります。
  • この時期にいじめや虐待、自然災害などがあると、パニック発作などのトラウマ的病態が加わり、解離性障害や人格障害などの精神疾患が合併し始めます。
Stage3: 精神疾患の完成期

当院が主に関わるのは、初診時に15歳未満のケースが多く、Stage1〜2の段階の方が中心です。そのため、どのように児の状態を問診や検査で把握し、学校担任やご両親、塾や、デイサービスの方に検査結果をもとに客観的な状態を理解していただき、最適な環境で育てていただくかが重要と考えています。
(多動、衝動、不注意症状の改善には、適宜投薬も行っています)

赤ちゃんの頭のかたち外来の新設

体位性頭蓋変形症のヘルメット療法を開始しています。今の所保険適応外のため、自費診療となっています。(※電話予約診療のため、突然の来院はご遠慮ください。)

頭蓋変形には病的で保険適応となるものと、体位の問題で頭蓋が変形してしまう非病的なものがあります。
病的なものには、発達障害なども伴う事がある、遺伝子疾患が原因とするものが多く、多くは手術で頭蓋形成を行います。
非病的なものは、あおむけ寝の時間が何らかの原因で多かった方(斜径、頭血腫、新生児無呼吸症etc)が結果的に、重力によって、頭蓋が高度に変形してしまうもので、発達の問題はないものの、耳の位置がずれて、メガネがかけれなかったり、バイクのヘルメットがかぶれなくなるなどの問題が出てしまうため、これを早期に医療用ヘルメットによって矯正し、球形に近づけようとするものです。

頭の変形は放っておいても自然に治る?

 院長が新生児科部長であった頃は、「頭の変形は放っておけば治る」というのが常識でしたが、それは、うつぶせ寝を推奨していたからこそでした。
 しかし、1990年代に入り、うつぶせ寝が乳幼児突然死症候群の原因となる事が解明されてから、アメリカでは、長時間のうつぶせ寝を禁止、仰向けに寝かすようキャンペーンが行われ、乳幼児突然死症候群が有意に減少したものの、代わりに体位性頭蓋変形が激増し、重度の変形を認めた方の66%は、体位変換だけで放置すると重度のままで固定し、改善しても中等度の変形が残る事がわかりました。(うつぶせ寝時代の中等度以上の頭蓋変形頻度は0.5%程度であったものが、仰向け寝時代では40%代まで増えたそうです。)

 そのため、アメリカでヘルメットによる矯正方法が考案され、現在に至ります。

頭のかたち外来では、

  • 病的なものか、非病的なものかを診察し、
  • 病的なものが疑われる場合は、大学病院を紹介し
  • 非病的なものであった場合は、重症度を測定し、自然治癒するかどうかを判定します。

ここまでは保険診療で行います。その結果重度以上の変形が見られる場合は、将来変形が残る可能性が高いため、希望により自費診療でヘルメット作成を行います。

ヘルメット作成は、レントゲンで縫合異常がない事を確認したうえで、三次元デジタイザで、頭を三次元撮影し、それに応じてヘルメットを作成します。

治療開始は、3、4か月~9か月未満までなら可能で、9か月以上は、ヘルメット療法の治療効果が落ちるとされています。
平均ヘルメット装着期間は4か月程度です。


今後とも、当院の方針や取り組みにご理解とご協力を賜りますようお願い申し上げます。

2025年は1月6日から通常通り診療を開始いたします。
本年もよろしくお願いいたします。

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