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12月に入ってから、スギ舌下免疫療法に続き、ダニ舌下免疫療法薬が発売になりました。
製剤は二種類です。
- アシテア ダニ舌下錠 100単位(19000JAU), 300単位(57000JAU)
塩野義製薬 - ミティキュア ダニ舌下錠 3300JAU, 10000JAU
鳥居薬品
適応症は?
12歳~65歳までの
ダニまたは、ハウスダストによるアレルギー性鼻炎
です。
注射による治療では喘息も適応があるのですが、舌下免疫療法では、喘息に対する効果が弱いため、適応には入っていませんが、若干の効果は見込める場合もあります。
ダニによる鼻炎の診断は、直接の負荷試験をしない場合は、難しいですが、血液検査や皮膚検査でダニ抗原による反応が比較的高値で、且つ、基本通年性ですが、ダニが増える秋口に鼻炎症状が悪化し、かつ、その時期に増える花粉(菊科)症でない事を確認し、掃除や本棚の整理で鼻閉やくしゃみが誘発される方と考えられます。
その中でも、数年に及ぶ投薬を地道に続けられる方というのは、よほど鼻炎症状がひどい方という事になるかと思います。
有効率は?
まだはっきりしませんが、鼻炎に対する効果は
- 著効:20%
- 有効:30%
- やや有効:30%
- 無効:20%程度
とされており、スギ舌下免疫療法とほぼ同じと考えられています。今後、発売後の集計で変わる可能性もあります。
治療期間は?
最低治療期間は3年、できれば4-5年、毎日服用する事で、症状の緩和、もしくは、完治が見込めます。
スギ舌下免疫療法と同じく、1年で有効と考えられる位症状が改善する場合は、3-4年続ける。2年しても有効性がわからないものは、治療を諦めるという事になりそうです。
有効性はどうやってしらべる?
検査で有効性を判断するのは、難しいので、掃除や、本棚の整理などをした時の鼻炎の悪化具合などで判断する事になるかと思います。
副作用は?
ミティキュア
国内第Ⅱ/Ⅲ相臨床試験(ダニアレルギー性鼻炎)において安全性評価対象 627 例中中 399 例(63.6%)に副作用、主な症状は、
口腔浮腫 106 例(16.9%)、口腔そう痒症 91 例(14.5%)、咽喉刺激感 81 例(12.9%)、咽頭不快感 67 例(10.7%)、口腔内不快感 64 例(10.2%)、口の錯感覚 60 例(9.6%)、耳そう痒症 44例(7.0%)等
アシテア
安全性評価対象例985例中,副作用は673例(68.3%)に認められた。主なものは咽喉刺激感207例(21.0%),口腔浮腫197例(20.0%),口腔そう痒感180例(18.3%),耳そう痒感102例(10.4%)であった。
という内容で、両薬剤ともに副作用発生率はほぼ同じで、ほとんど口腔内症状で、全身性ショックは認められませんでしたが、理論上、ショックはありうると考えられますので、処方医は、許可を受けた医師のみに限られます。
治療不適応者は?
禁忌
1.本剤の投与によりショックを起こしたことのある患者
2.重症の気管支喘息患者
〔本剤の投与により喘息発作を誘発するおそれがある。〕
慎重投与
- 非選択的β遮断薬服用の患者への注意
- 三環系抗うつ薬及びモノアミンオキシダーゼ阻害薬(MAOI)服用の患者への注意
- 重症の心疾患、肺疾患及び高血圧症の患者への注意
- 全身性ステロイド薬投与の患者への注意
- 全身性ステロイド薬の長期投与により、免疫系が抑制され本剤の効果が得られない可能性がある。
- 65歳以上の高齢者
- 妊婦、授乳婦
- 使用経験がない
特に2)に関しては、スギ舌下免疫療法の際に注意がなかったので、当院で注意書に入れるようにお願いしたのですが、それが、通ったのか、ダニ舌下免疫療法では入れてくれています。小児科の発達障害に対して、一部の薬を使用している場合、注意が必要となります。
アシテアとミティキュアとどっちがいいの?
どちらも有効性の違いは確認できていません。まだこの手の薬(舌下免疫錠タイプ)は、日本が世界初の発売となります。ので、今後、詳しい違いが発表されると思います。
当院としては、ミティキュアの方が、ダニ抗原量が少なく、導入期の増量がなく、投与方法が簡単で、スギ舌下免疫療法と同じ会社なので、ミティキュアにしようかなと思っています。
投与方法の違い
ミティキュア
1分間舌下に保持し、5分間は、うがい や、飲食禁止。2時間程度は激しすぎる運動を避ける。
- 導入期(初回1週間)
- 3300JAU錠を1回1錠、1日1回舌下に服用
- 維持期
- 10000JAU錠を1回1錠、1日1回舌下に服用
アシテア
完全に溶解するまで舌下に保持し、5分間は、うがい や、飲食禁止。2時間程度は激しすぎる運動を避ける。
- 導入期(1日目)
- 100単位錠を1回1錠、1日1回舌下に服用
- 導入期(2日目)
- 100単位錠を1回2錠、1日1回舌下に服用
- 導入期(3日目)
- 100単位錠を1回3錠、1日1回舌下に服用
- 維持期(3日目以降)
- 300単位錠を1回1錠、1日1回舌下に服用
- 300単位錠を1回1錠、1日1回舌下に服用
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