フルミストの特徴
フルミストのインフルエンザ株は、
- 低温馴化(CA:cold-adapted)
25度で効率的に複製するウイルス株。(この温度では、通常の野生株ウイルスの複製は制限される。) - 温度感受性化(TS:temperature-sensitive)
多くの野生株ウイルスが効率的に複製できる温度(B型ウイルスにおいては、37度、A型ウイルスにおいては、39度)ではこのウイルスの複製が制限を受ける。 - 弱体化(ATT:attenuated)
ヒト-インフルエンザ感染モデルであるフェレットにおいて、古典的インフルエンザ様症状を発症させない。
という処理がなされています。
このウイルス株は、臨床試験において、ウイルスが先祖がえりして病原性を回復する事はありませんでした。
低温馴化
弱体化ウイルスを選別し、培養する過程で徐々に温度を低下させ、25度で効率的に増殖出来る株を選別し、マスターウィルス(MDV:master donor virus )とする。通常、低温馴化する過程で、病原性はさらに低下する。
再集合化
フルミストに含まれるウイルスは、マスターウィルス(MDV:master donor virus )と野生株ウイルスを低温状況下で一つの細胞に同時感染させることによって、各々の特徴を融合させる再集合化という手法で作成されています。
A型インフルエンザには、A/Ann Arbor/6/60-H2N2が、B型インフルエンザには、B/Ann Arbor/1/66というタイプのマスターウイルスが使用されています。
低温馴化(CA)、温度感受性(TS)および弱体化(ATT)の表現型の元である6つの内部遺伝子断片は、マスターウィルス(MDV)に由来します。また、2つの表面糖タンパク質、赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)をコード化する2つの遺伝子断片は、野生型のインフルエンザ・ウイルスに由来します。
したがって、FluMist Quadrivalentに含まれる4つのウィルスは、マスターウィルス(MDV)の複製特性および表現型特性を維持しつつ、野生株ウイルスの赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)を表現しています。
温度感受性(TS)および弱体化(ATT)の表現型については、
- A型のマスターウィルス(MDV)については、3つの異なる内部遺伝子断片中の少なくとも5つの遺伝部位が、
- B型のマスターウィルス(MDV)については、2つの異なる内部遺伝子断片中の少なくとも3つの遺伝部位が、
特性に関連しています。
そして両者において、3つの遺伝子断片中の5つの部位が低温馴化(CA)特性に寄与しています。
この再集合体ウイルス各々は、2013-2014年に流行した野生株ウイルスの赤血球凝集素(HA)およびノイラミニダーゼ(NA)を表現しています。
特定病原体未感染卵(SPF)に、再集合体株を接種し、認可ウイルス複製目的で培養して作成しています。
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