以前 “おしらせ” に記載した内容ですが、非常に重要で、埋もれるのはもったいないので、ここでもう一度記載しておきます。
『軽度発達障碍のため勉強がついていけず、不登校になってきていますが、どうしたら良いのでしょうか?学校に言っても良い対応が得られません。』こういったご相談が多く、 ADHD【注意欠陥多動性障がい】やPDD【広汎性発達障がい(自閉症)】、知的障がい児などに対する現在の和歌山市周辺の体制について、毎年少しづつ改善されては来ていますが、なかなか全容を把握しにくい所がありました。
ごく最近までは、下手をすると、今でも、校長先生や学校の先生ですら詳細をご存じない方が存在しています。(※こういう場合は、教育委員会と校長先生の言い分がかみ合わなくて御両親が非常に苦労します。)
本日、LD通級教室の先生とお話する機会があり、大まかなカテゴリーについて教えて頂きました。
LD等通級指導教室
※東京では2016年4月から特別支援教室に名称変更され、各学校に必ず1つ設置する方向に向かう予定だそうで、この動きは今後地方にまで及ぶ予定です。
定型発達者の通う一般教室の中で軽度の障がい(コントロール可能なADHD, 情緒障がいの軽いPDD, LD)をもった子供が通う所が「サポート教室(小学校)、トライルーム(中学校)」です。正式には、LD等通級指導教室と言います。
学校から通級申請をだして、市の教育委員会が面談を行って、判定し、必要と認めた場合、年度途中からでも通級できるようになります。一般の子供たちと同じ授業を受けつつ、部分的に指導教室に通います。指導教室が当該校内に存在する場合は、通常授業時間中に指導を行う場合もありますが、そうでない場合は、放課後数時間だけ不得手な学問の復習や、先生によっては、集団でのSSTなども行ってくれます。しかし、短時間の指導ですし、少人数ではありますが、人数制限がありませんので、生徒数が増えてくる場合は、ある程度落ち着いて人の話を聞ける子供でないと、上手に指導できません。
通級指導教室には、以下の種類が他にもあります。
- LD等通級指導教室
- 病弱・身体虚弱学級(院内学級)【※俗にいう院内学級】
- 言語障害通級指導教室:吃音など【※俗にいう言葉の教室】
- 難聴通級指導教室(聾学校の中に併設)
特別支援学級
指導教室だけでは不十分な場合は、特別支援学級に移動する事となります。
ただし、この学級に入級できる対象児童は学校教育法第81条第2項及び学校教育法施行規則第137条の規定で定められており、LDやADHD単独の病名では入級できません。(この規定については、全く理解に苦しみます。ADHD単独の人は珍しいですが、それでも中学3年生で、学力が小学校4年生レベルという人が今までもいました。そんな稀な人を助けてあげないという規定には、賛同できません。)
ここでは、教師1人に対して最大8人までの児童を指導する体制をとっています。(移動は年度単位の移動で毎年10月末頃までに申請開始する必要があります。 医師に診断書を書いてもらい、校長に伝えて、校内の修学指導委員会を経て、和歌山市教育委員会の就学指導にかけて、了承された場合、入級できます。)特別支援学級は各学校内に存在していますが、各々に該当する児童に合わせて、なくなったり、できたりするので、年度ごとに、どこの小学校に何があるかは、一定していませんが、和歌山県教育委員会のホームページで確認できます。
特別支援学級には、以下の3種類があります。
- 自閉症・情緒障害学級
- 知的障害学級
- 肢体不自由学級
特別支援学校
非常に手間がかかる場合、(IQが低い、意思の疎通が出来ない、排泄ができないなど)は、特別支援学校(肢体不自由と知的障害と重複障害)などを考慮します。この場合も医師の診断書などはあった方が断然よいですし、無い人はほとんどないと思います。これも就学前の市教育委員会の修学指導審議会を経て、入学を考慮します。年度単位での転校は通常できません。一度通常小学校に通い始めた人は、中学生になるまで、支援学校に入る事は通常できません。
人員配置は、教師1人に対して、1-4人程度です。
和歌山市内には、現在5校1分校(県立紀北支援学校・県立紀伊コスモス支援学校・県立紀伊コスモス支援学校園部分校・県立和歌山盲学校・県立和歌山ろう学校・和歌山大学教育学部附属特別支援学校)があります。
※詳しくは各市教育委員会学校教育課へ
軽度発達障害児を教室ごとに分けるべきか?
少なく見積もって人口の5%存在する軽度発達障害児の勉強を個別の教室に集めて授業する事は良い事なのか?最近そういった考えが、小児科医や、現場の教師から出てきています。実際、多動傾向のあるADHDの子供ばかり集めると、さらに多動が激しくなり、収集がつかなくなったり、社会性の問題のある軽度自閉症の子供を集めて、社会性の問題を解いても、そもそも社会性が無いわけですから、正しい答えが出る事もなく。
また、5%の子供を隔離するということは、そもそも子供たちに、差別する事を教えるようなものであるという考え方も出ています。こういった子供たちも、一般の子供たちと同じ教室で教える事によって、子供たちの仲にも、助け合いの精神が芽生え、よりよい社会教育になるのではないでしょうか?
また、特別支援教室で教える先生も、一人では手一杯で、ソーシャルスキルくらい普通の教室の先生に、普通の子供たちと一緒にやってもらいたいし、その方が効果的であるにも関わらず、『障害児教育は、私の仕事ではない』と丸投げされている状況があり、今後の大きな課題ではないかと考えています。
インクルーシブ教育
そういった理想から文部科学省が最近提唱してきているのが、インクルーシブ教育というもので、まさに、障碍者にも、定型発達者にも、どちらにも有効なユニバーサル教育スタイルで、詳細については、こちらのサイトが詳しいです。
神奈川県では導入が進んでいるようですが、まだまだ和歌山での導入は無いようで、これからに期待するとともに、少子化で、子供が減るからと言って、教員を削減するのではなく、個別指導で質をあげていく方向に誘導していってほしいものです。
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