出産後、産婦人科でのルーチン
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詳細については入院する産婦人科から説明があるとおもいますが、ここでは主な項目に関して説明します。
この項目については、通常母子手帳の裏に書かれている内容ですので、良く読んでおきましょう。
ビタミンKシロップ投与
- 正常な赤ちゃんの0.4%は、ビタミンK欠乏を起こし、稀に出血症状を起こします。これを予防するために、第1生日、第5生日にビタミンKシロップを投与します。さらにその後1ヵ月健診で投与され、計3回の投与が行われていました。
- しかし、それでも出血症状を起こす子供がいる事がわかったため、ヨーロッパなどと同様に、母乳栄養児に限って、生後1か月~3か月まで、ビタミンKを毎週服用させる方式を採用している産婦人科が増えてきました。
- ケイツーシロップの飲ませ方
新生児先天性代謝異常スクリーニング検査
ガスリー検査
旧来からある検査法で、今の所、和歌山市以外の和歌山県内都市で行われている方法です。
- 途方も無く種類が多い先天性代謝異常症の殆どは治療法が無い病気ですが、その中でも治療方法があり、発見が遅れると、重度の知能障害が残る病気を早期発見するための検査です。
- 病気の人を漏れなく発見する事に重点を置く検査なので、正常の人も、『疑いあり』としてひっかけてきます。(だいたい60人に1人は『疑いあり』で再検査にまわります。)
- ですから、再検査にひっかかったからといって、即異常ではありません。その時点で本当に異常がある可能性は0.7%~0.003%程度です。
検査対象となる病気とスクリーニング対象疾患の発見率
(1974~1998、東京都予防医学協会)
分類 | 疾患名 | 頻度 |
---|---|---|
先天性アミノ酸代謝異常症 | フェニルケトン尿症 | 1/55,000 |
メープルシロップ尿症 | 1/2,165,000 | |
ホモシスチン尿症 | 1/1,101,000 | |
先天性糖質代謝異常症 | ガラクトース血症 | 1/360,800 |
先天性内分泌代謝異常症 | 先天性甲状腺機能低下症 クレチン症 |
1/8,500 |
先天性副腎過形成症 | 1/17,285 |
- 検査を行う時期:第5生日時
- 結果をお知らせする時期:1ヶ月健診時
- 異常があった場合の対応
- 安い検査で偽陽性が多く(特異性が低いため)60人に1人は再検査依頼が来ます。(但し、無料です)
- 通常は1ヶ月健診までに電話でお知らせして再検査の予約を取ります。
- 二次検査でさらに追検査が必要と判断された場合は、当該地域の担当病院へ紹介されます。(地域によっては自治体から電話連絡があるところもあります。)
タンデムマス スクリーニング検査
最近、さらに優れた検査方法が開発され、今まで6種類しか検査できなかったものが、同じ血液量で20種類の疾患まで検査できるようになりました。この新しい新生児スクリーニングを実現するためには3,000万円の機器と、一人当たり3,000円の検査実費が必要となるといわれています。国も自治体もすぐには金を出すことは難しいようです。
現在和歌山県では和歌山市だけが、この検査法を実施している模様ですが、徐々に広がっていくと思います。
新生児黄疸・母乳黄疸
黄疸とは
- 血液中のビリルビンという物質が増え、身体が黄色く見えることを黄疸といいます。
- 黄色人種のほとんどは生後間もなく生理的黄疸を起こします。
- 生後7日以内のひどい黄疸をほっておくと稀に脳障害を残す場合があるため、入院中は黄疸検査を行います。(生後30日を越えた成熟児の黄疸はこのかぎりではありません)
通常の治療方法
黄疸の数値が基準値以上に達すると光線療法を行います。
- 光線療法(光線療法を行う頻度は全出産の5-7%程度です。)
- 緑色の光を全身に当てるとビリルビンが尿や便に排泄されやすくなります。
産婦人科退院後の黄疸について
- 生後7日以降の黄疸はあまり重要視しない傾向にありますが、退院後赤ちゃんの黄色さ(特に手足の黄色さ)が増強していると感じる場合は小児科または出産施設を受診してください。
- 母乳によって黄疸が1ヶ月ほど続く場合がありますが、軽い黄疸は異常ではありません。
新生児聴覚スクリーニング
正常新生児1000人に1人の確率で何らかの難聴が認められます。
その子供たちに対して生後6ヶ月までに適切な療育を開始した場合、より良い言語発達を見ることが出来ると言う研究結果から、早期発見目的で実施されています。
検査方法には二種類ありますが最も普及しているAABRと言う検査方法の感度は99.9%で特異度は97.9%と報告されており、ベイズの定理から計算した陽性的中率(検査で異常と判定された人が本当に異常である確率)は計算上4.54%ですが、出生時異常を認めた場合は、1ヵ月健診時に再検査を行うため、実際の報告(再検査でも異常と判断された場合)では、一側難聴の疑いと判定された人の43%は正常で、両側難聴疑いと判定された人の24%は正常だったと報告されています。