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目立たない平凡な毎日が続いているように見えますが、平成25年6月に制定された、「障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律」(いわゆる障害者差別解消法)が来年4月から施行されます。
『障害を理由とする差別の解消の推進に関する法律』
内閣府HPより抜粋・・・・・
第三章
行政機関等及び事業者における障害を理由とする差別を解消するための措置
- 第八条(事業者における障害を理由とする差別の禁止)
事業者は、その事業を行うに当たり、障害者から現に社会的障壁の除去を必要としている旨の意思の表明があった場合において、その実施に伴う負担が過重でないときは、障害者の権利利益を侵害することとならないよう、当該障害者の性別、年齢及び障害の状態に応じて、社会的障壁の除去の実施について必要かつ合理的な配慮をするように努めなければならない。
この法律により、来年4月以降、すべての国公立施設(保育園・幼稚園~小学校~大学)において、発達障害者を含む障害者に対して、合理的な配慮が義務付けられる模様です。
また、法律ですから、私立施設においても、最初は"努力目標"として、最終的には、義務として課せられてくると考えられます。
合理的な配慮とは?
第八条によると、私立を含む、事業者が、(その実施に伴う負担が過重でないときは、)"合理的な配慮" を否定する事は、差別に含まれる事となり、法律で禁止されることとなります。
では、合理的な配慮とは、いったいどの程度の配慮をさすのでしょうか?
文部科学省・特別支援教育の在り方に関する特別委員会の資料に、合理的配慮の内容が記載されています。
文部科学省HPより抜粋・・・・
2.「合理的配慮」の提供として考えられる事項
- (1)障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校等で行う場合には、「合理的配慮」として以下のことが考えられる。
- (ア)教員、支援員等の確保
(イ)施設・設備の整備
(ウ)個別の教育支援計画や個別の指導計画に対応した柔軟な教育課程の編成や教材等の配慮
- (ア)教員、支援員等の確保
- (2)障害のある児童生徒等に対する教育を小・中学校等で行う場合の「合理的配慮」は、特別支援学校等で行われているものを参考とすると、具体的には別紙2のようなものが考えられる。
- (3)「合理的配慮」について条約にいう、「均衡を失した又は過度の負担を課さないもの」についての考慮事項としてどのようなものが考えられるか(例えば、児童生徒一人一人の障害の状態及び教育的ニーズ、学校の状況、地域の状況、体制面、財政面等)。
いわゆる小学校お受験と発達障害
一般的な小学校お受験と言われるものは、IQテストと同じもので、これを行う事で、精神発達遅滞を見つける事はできても、軽度発達障害(高機能自閉症、ADHD、発達性協調運動障害etc)を見つける事は出来ません。また、軽度発達障害者の中には、著しく学問の優秀な人が存在するため、それらを省く事は得策ではありません。
IQテストを使って古くから生徒を集めてきた某教育大学付属〇〇小学校の先生方の話でも、どんなIQテストを行って入学させたとしても30%程度は学習困難者が入り込むそうです。
また、軽度発達障害は、時に学業の遅れ、不登校と学校運営上、無視できない状況を起しやすく、その対応は、私立、公立を問わず、求められます。
法律施行後、私立はどう動くか?
国公立の学校はこの法律の国会承認以降、実施に向けて着々と準備が行われており、和歌山市でも特別支援教室が各校に配置されつつあります。
では、私立の学校はどう動くのでしょうか。全国的にみて、私立学校で障害者教育を積極的に実施している学校はあまりありません。
とくに、上記に書かれているような、”教員・支援員等の確保”や、"個別対応"となると、いきなり実現はコスト的に不可能だろうと考えますので、国は『その実施に伴う負担が過重でないときは、』という緩衝文言をいれつつも、数年かけて充実を迫る考えなのかと考えられます。そうなりますと、私立の授業料にも影響を及ぼしてくると考えられます。
少子化で児童数は減少し続けていますが、小児医療と同様、教育の質や、子どもの権利は、増える一方でしょうし、一人当たりのコストは増加する一方でしょう。財務省の言う『教員の削減』とは相反する状況が増えていくのでしょう。
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