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主な動物の狂犬病症状
犬や猫の場合、狂犬病発症後の寿命は10日程度です。
よって、元気に10~14日以上生存している場合は、狂犬病ではなかった…のだろう、と考えます。
狂犬病はあらゆる哺乳類に感染しうるウイルスです。
しかし、小さなネズミ類は狂犬病の可能性は少ないと考える事が多いのですが、それは、通常ネズミなどは、捕食される動物であるため、動物に噛まれる事は、即死を意味することが多かったり、体が小さい事も、発症してから死亡するまで短時間であるため、そうそう狂犬病に罹患しているネズミに出会う可能性が少ないからとされています。
しかし、ペット用ハムスターに狂犬病が確認されたことや、そもそも、海外のコウモリやトガリネズミは狂犬病ウイルスの自然宿主で感染していても発症しないなどがありますので、海外で哺乳類に近づかない事は重要です。
犬
前駆期
一般に2~3日の経過をとる
口のまわりによだれ、泡がついている。
- Head Pressing
- 性格の変化と行動の異常(挙動不審、気まぐれ、過敏、疑い深い目付きをする)。
- 恐怖心による興奮と飼い主に対する反抗。遠吠え。
- 異物を好んで刺激に応じて咬む。
- 被咬傷部の掻痒。
- 性欲の亢進。
- 早期の一過性発熱。
- 憂鬱。
- 倦怠。
- 瞳孔散大。
興奮期
一般に1~7日の経過をとる:この期間が短く、すぐ麻痺期に移行する場合がある
- 落ち着きがなくなり興奮状態となる(無目的な徘徊、目に入るものを頻繁に噛む傾向を示す)
- 異嗜(小枝、わら、石、土などを食べる傾向の多発)
- 喉頭筋組織の麻痺によるほえ声の特徴的な変化(嗄声、長吠哀哭)
- 光や音(視覚、聴覚)の突然刺激に対する過敏な反応
- 流涎および咽頭筋肉の最終的麻痺による嚥下困難
- 顔貌の険悪化
- 筋肉組織の攣縮
- 角膜乾燥
- 初回の痙攣発作中に死ななければ、麻痺段階に入る
麻痺期
一般に2~3日の経過をとる:犬ではこの症状が最も多い
- 全身の麻痺症状による歩行不能(後躯の麻痺が良く観察される)
- 咀嚼筋の麻痺による下顎下垂とこれによる嚥下困難
- 舌を口外に垂らしながら流涎
- むせるような発生音(しばしば、犬ののどに物が詰まったと判断して人が取り除く行為を行いウイルスに暴露される)
- 昏睡状態となり死亡
猫
ネコにおける狂犬病の臨床像は、犬よりも攻撃性がより明瞭に認められます。
それ以外は、多くの徴候が犬と類似している。
前駆期
一般に1日の経過をとる
- 性格の変化と行動の異常(正常な行動からの突然な変化:平常時に不機嫌ですねたネコがより機敏となり、落ち着きがなくなり、注意深く、親しげになる
一方で、愛らしいネコが突然挑発されることなく引っかいたり、噛んだりして、うつ状態になり、暗い場所に引っ込んで隠れようとする)。 - 性欲の亢進(雄ネコではペニスの持続性勃起が見られる)。
- 瞳孔散大。
- 結膜反射の消失。
- Head Pressing
興奮期
- 筋肉の緊張増加、筋肉の単収縮、全身の筋肉の震顫、筋肉衰弱、流涎、神経過敏、被刺激性、攻撃性の増加などの症状がひどくなる。
- 目に入るものを頻繁に噛む傾向を示す。
- 嚥下筋肉の麻痺により唾液がたまり流涎を起こす。
- 痙攣は徴候が見えてからほぼ5日目に顕著となり後肢の麻痺が急速に進行する。
麻痺期
一般に3~4日の経過をとる:この段階が顕著な場合は、興奮期がないかもしくは極端に短く、犬で見られる典型的な下顎麻痺または顎脱落の徴候を示すものはまれである
- 嚥下筋肉が早期に麻痺を起こすために飲食が困難となる。
- 全身麻痺。
- 徴候開始から3~4日以内に昏睡して死亡する。