おたふくかぜ(流行性耳下腺炎:ムンプス, Mumps)
どんな病気?
おたふくかぜウイルス(ムンプスウイルス)による病気です。かかっても軽症の場合が多いのですが、重い合併症を引き起こすことも多いのでワクチンによる予防が重要です。自分の子どもだけは重症にならない、という保証はありません。
世界の多くの国では、おたふくかぜワクチンを定期接種で2回受けているので、流行はあまりありません。しかし日本では、任意接種ワクチンで接種費用が自己負担のうえ、1回だけ接種する習慣になっています。どんな病気なのかもほとんど伝えられていません。そのため、平均すると毎年約60万人がかかって、多くの子どもが重い合併症で苦しんでいます。
症状や経過
2~3週間の潜伏期の後に、両方またはどちらかの耳下腺がはれてきます。触ってもはっきりしたしこりに触れるわけではありませんが、家族など周囲の人が見るとはれているのに気がつきます。しばらくすると反対側もはれてきます。発熱は起こることも、起こらないこともあります。症状が出ない(不顕性感染)場合もあります。またおたふくかぜ以外でも、耳下腺が腫れることもあります。周りでおたふくかぜが流行しているかどうかも診断の助けになります。
重症になると?
おたふくかぜには多くの合併症があります。
- 無菌性髄膜炎が約50人に1人の割合で起こります。これを発症すると強い頭痛を訴え、嘔吐することもあります。
- 一生治らない重度の難聴になることがあります。約1,000人に1人の割合で、年間700人くらいがかかっていると推定されています。
- 脳炎が毎年約30人に起こっていて、障害が残ったり死亡したりすることもあります。
予防は?
おたふくかぜワクチン(任意接種・生ワクチン)で予防します。おたふくかぜはかかっても軽症の場合が多いのですが、重い合併症を引き起こすことがあるので、ワクチン接種が重要です。1歳で1回、1回目の接種後3~6年たったら2回目を接種するのがおすすめです。地域によっては公費助成がありますので、お住まいの自治体にお問い合わせください。
ワクチンをしないで罹患した場合のデメリットは?
重篤な合併症を伴わなかったとしても、デメリットとしては、以下のものがあります。
- 約5日間罹患した子どもは、一般的な外出が出来ません。
- 登園、登校ができません。
- 運動会、発表会、お祭りなどに参加できません。
- 赤ちゃんに感染させると、重篤化する場合があります。
- もちろん、罹患した子供の看病のため、御両親のどちらかは5日間仕事を休まなければなりません。
親が看病のために、平日5日間仕事を休むと考えた場合、最低賃金時給690円で計算した場合でも、(8時間×5日)*690=実に、27600円もの労働力の損害が発生します。
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