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- 認可不活化ポリオワクチン(定期接種)
- 国産生ポリオワクチン
- 当院で未認可不活化ポリオワクチンを接種したお子様へ
- 渡航者用ポリオワクチン
国産生ポリオワクチン
日本でポリオが大流行した1960年、ソ連から緊急輸入され、そのまま定期接種となり、2012年6月まで集団定期接種として、2回接種されていたワクチンです。
特徴
1型~3型の三種類の生きたセービン株ウイルスを含んでいます。。
1回目の接種でワクチン中の2型ウイルスが増殖し、2型抗体が獲得されます。
2回目の接種でワクチン中の多くは1型ウイルスが増殖して、1型抗体が獲得されます。
3回目の接種で3型ウイルスが増殖して、3型抗体が獲得されます。
※よって、2回接種しか行われていない日本人では3型抗体は約60%にしか獲得されていません。
※昭和50年~52年生まれの方は、当時の生ワクチンの不備で抗体がうまく獲得出来ていない方がいます。
利点
流行阻止にはファーストチョイス
- 接種すれば、直ちにワクチンウイルスが腸管内で増殖して、他のウイルスの侵入をブロックしますので、流行阻止には速効性があります。
- 服用すると、腸管内で増殖し、60日間糞便中と唾液中にワクチンウイルスが排泄されるため、周囲にワクチンウイルスが感染し、ワクチン接種していない人にまで、抗体を獲得させます。
良好な腸管免疫
腸内で増殖するため、接種者には腸管免疫と血中免疫の2種類が獲得されます。このため、しっかりとした腸管免疫があれば、流行株が体内に侵入しても、腸内で中和され、感染者の便にウイルスが排泄されず、流行を阻止する可能性が高まります。
※ただし、2回接種だけでは、腸管免疫IgAは2型抗体のみが2年間分泌されるだけであり、腸管リンパ細胞の記憶も10年程度で失われるという報告もあり、長期の腸管防御は期待できません。
欠点
麻痺をおこす
- 希に(厚労省発表で100万人に1.5人、WHO発表で100万人に2人)ウイルス株が毒性を復活させ、接種した人に麻痺を発生させたり(ワクチン関連麻痺:VAPP, vaccine associated paralytic poliomyelitis)
- 周りの人に麻痺を発生させたり(Vaccine Derived Poliovirus:VDPV)
- 強毒化したウイルスが社会で蔓延して集団感染を引き起こしたり(cVDPV:circulating VDPV)
という不利益な副反応を持ちます。
このため、ワクチン接種者の糞便から出るワクチンウイルスが強毒化して下水道~河川に流れ出て、人に感染する恐れがあるため、生ワクチン接種を開始すると、ワクチンを中止できない。中止すると、未接種者が河川などから感染し発症するリスクが出てくる。というジレンマが起こります。
2014年9月頃?までは任意接種可能
集団定期接種は2012年6月で終了しました。今後は、トラベルワクチンなどで必要な方に接種する場合や、国内再流行発生時などに再び使用する可能性はありますが、それらが無い場合は、市場から消えていく予定です。
トラベルワクチンなどで、接種希望の方は、お電話でご相談ください。
現在でも、アフガニスタン、ナイジェリア、パキスタンでは、ポリオは常在しております。
今後は、国内再流行時の最終手段として備蓄される
厚労省検討会によると、現在生産された3価経口生ポリオワクチン(TOPV)は、平成24年秋に製造終了し、平成26年夏に廃棄となります。その後、単価ワクチン原液(バルク)として1400万ドーズが備蓄されます。
今後国内で再流行が発生した場合、その時点での国民の不活化ポリオワクチン(IPV)接種率などを推定し、国民が十分な基礎免疫を持っていると判断した場合は、臨時不活化ポリオワクチン接種を行いますが、もし、十分に抗体価が無いと判断した場合は、再び1価生ポリオワクチンの臨時接種を行う予定です。
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