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コロナワクチンの話

コロナワクチンの話

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 2020年は、大変な年でした。今年は何とか耐えましたが、2021年も引き続きコロナ騒ぎは続きます。
しんどい状況はもう少し続きそうです。

 さて、2021年はコロナワクチン接種が始まります。なんてったって、7月23日から東京オリンピックを予定しているわけで、それまでに、ある程度のワクチン接種を完了させるつもりで狙ってくるでしょう。(オリンピックがほんとうにやれるのかは、別として)

実際の接種について考えてみる

コロナウイルスの接種優先順位は、重症化しやすい年齢群や合併症群を対象としてくるでしょう。因みに、現在のところ、年齢では65歳以上が標的とされていますが、日本の65歳以上の人口は、だいたい3600万人です。これに、合併症持っている人たちが加算されます。

合併症としては、腎疾患、高血圧、糖尿病、肥満の方です。
透析人口 35万人くらい、糖尿病人口1000万人くらい、健康な肥満の人1000万人くらい、高血圧4000万人くらいです。
これらは一人で重複して持っている人も多いので、正確な対象者数はわかりませんが、だいたい2000万人くらい増えるとして、ここに、医療従事者や介護従事者が加わったとして、対象人口が6000万人くらいと過程してみましょう。ワクチンは2回接種が必要なので、1億2000万回の接種が必要です。

2022年3月頃までに使用可能となりそうなモデルナとファイザーワクチンはいずれもm-RNA型ワクチンですが、すでに1億6000万回分が確保されています。

では、接種するとなった場合、どれくらいの忙しさになるか、想像してみましょう。

2020-21年のインフルエンザワクチンは10月から開始され、だいたい11月末で接種が終了しますが、その接種回数は、全国で6300万回です。

つまり、2か月かけて6300万回で、あの混雑具合です。これを3月から7月くらいまでの4か月かけて、ほぼ倍の1億2000万回接種します。

 2021年、もし一般クリニックでコロナワクチンを接種しようとすると、4か月間、ワクチンでごった返す状況が続くわけで、一般診療に支障が出る可能性が高いですね。

 そうなると、やはり保健所などで集団接種ということになるのでしょうか。mRNAワクチンは冷凍保存もかなり大変なワクチンと聞いていますので、密を避けて、集団接種というのも、かなり難しそうですね。開業医と保健所と半々でやるのかもしれませんね。

まだまだ続くコロナ

 このワクチン計画でも、2021年は65歳以上の接種でやっとこさです。2020年は主に若者が感染してウイルスを広めましたから、2021年も、流行は続くと考えた方が普通でしょう。

 ちなみに、mRNAワクチンが劇的に効いたとしますと、コロナ流行を抑えるためにはこのワクチンを人口の70%以上、おおよそ9000万人の日本人が接種する必要があります。今回最初の6000万人は、夏までに接種完了させたとして、のこりのワクチンが利用可能となるのは、11月くらいからで、そこから残りの3000万人(6000万接種)の一般人が接種することでようやく落ち着くので、やっぱり2021年いっぱいまで流行は続くんでしょう。(多分夏はまた一旦減ると思いますが)

 次の問題として、このワクチンの効果が1年以上持たないとしたら、毎年こんだけの接種をしなければならないとなったら、もう、コロナワクチンセンターとか作った方が良いかもしれませんね。

コロナワクチンの種類と開発スケジュール

いずれのワクチンも、できた抗体によって、2回目の感染時に、接種を受けていない人よりも症状が増悪する、ワクチン関連疾患増悪(vaccine-associated enhanced disease, VAED)という現象が起きないかどうかが注目されています。特に液性免疫だけを誘導するタイプのmRNAワクチンやウイルスベクターワクチン、組み替えたんぱく質ワクチンなどです。

mRNAワクチン(作りやすいけど、消費期限が短い)

 2021年3月頃から使用できる可能性が高いワクチンで、すでにアメリカで接種が開始されています。
『ウイルス表面スパイク蛋白を作れ』という命令文を油の膜で包み込んだものです。これを体内に入れると、人間の細胞に取り込まれて、命令通りに表面蛋白を作ったとたんに、免疫細胞に標的として認識され、抗体が作られます。
このワクチンの利点は、機械で簡単に命令文が作れるので、ウイルスそのものを培養する必要がなく、安全で素早く、大量に作れ、開発がメチャ早く出来ます。
ファイザー製は1億2000万本、モデルナ製は4000万本契約しています。第一三共も2021年3月から1相の臨床試験を開始予定です。

欠点は、ファイザー製は、不安定なため、-60℃、モデルナ製も-15~-25℃という超低温で保存する必要があるため、特注冷蔵庫が必要です。解凍後は一般の冷蔵保存では5日程度で期限切れとなります。(通常のインフルエンザワクチンの期限は6か月くらいです)
また、人間に使われるのは今回が初となりますので、未知の部分も出てくるかもしれません。医学的に考えられる副作用としては、一般的な免疫反応として、ショックなどはあり得るでしょうけど、わからない部分は、油の膜に対する反応がよくわからないのと、スパイク蛋白の命令文と現在イギリスなどで流行している変異株のスパイク蛋白の違いがないのかという不安もすこしあります。

ウイルスベクター型ワクチン

上記と同じmRNAが、サルのアデノウイルスの細胞膜で包まれたもので、上記のワクチンより安定しているため、消費期限は長くつかえます。日本が契約しているものは、アストラゼネカ製で、現在第二臨床試験中なので、使用可能となるのは2021年の終わりごろと予想されます。1億2000万本の予定です。

欠点は、サルのアデノウイルス細胞膜にも抗体を作られてしまうので、2回目の接種の効果が落ちる可能性があるとうことです。人間に使用されるのは、エボラワクチンの次ということでまだまだ若手のワクチンです。

組み替えたんぱく質・VLP(Virus like particle)ワクチン

ウイルスの中身(遺伝子)を含まない外殻たんぱく質(VLP)のみを、微生物や昆虫細胞、植物で作り、精製したワクチン(VLP)や、その分解物で作られたワクチンです。投与後、外郭に対する免疫を誘導します。相当数の使用実績があります。組み替えたんぱく質よりVLPの方がやや免疫を誘導する力が強いと考えられています。
欠点は作りにくいということで、日本では、武田製薬が製造予定ですが、まだ臨床試験にいたっていません。2億5000万回分確保される予定です。その他、塩野義製薬もこのタイプを作成予定で、1-2相臨床試験に入っています。

DNAワクチン (作りやすくて細胞性免疫誘導だけど効果弱?)

ウイルスの標的蛋白を作るDNAをそのまま投与すると、自然免疫を誘導し、それとともに、人間の細胞の核内でmRNAに転写され細胞質内で標的たんぱく質を作ることで、液性免疫と細胞性免疫2つを引き出す可能性があります。mRNAワクチンに比べ、標的たんぱく質の発現には、転写と翻訳の2段階が必要となるため、やや免疫誘導が弱くなると考えられています。これも、人類初のワクチンで、使用実績はまったくありません。

アンジェス阪大が1-2相臨床試験を実施しており、2021年末に販売開始を考えているワクチンで、大阪ワクチンともいわれています。

不活化ワクチン(作りにくくて、面倒だけど老舗)

ウイルスを培養して、不活化して、殺して粉々にしたカスを注射して免疫を誘導するワクチンで、古典的ワクチンです。いまある不活化ワクチンと全く同じ手法です。東大医科研が2021年3月から臨床試験を開始します。
作りにくくて、本物ウイルスを培養するので、危険がありますが、老舗のワクチンで実績がもっとも多いワクチンです。

新型ワクチンには夢がある

 今回、人類に初めて使われるmRNAワクチンやDNAワクチンはもし、大きな副作用なく、有効性が認められた場合、その技術を抗がんワクチンとして使えます。乳がんワクチンのHER2ワクチンなんかは、すぐに作れてしまうでしょう。いままでハーセプチンを3週間ごとに注射していた人なんかは、1か月間隔で2回接種したら、数年は通院がいらなくなるとか、考えたら、すごい革命がおきるかもしれない。そんな夢があるワクチンでもあるのです。

mRNAワクチンの効果(重症化低減)

現時点で接種が開始されているmRNAワクチンの効果が出てきています。

ファイザー製ワクチンについて(有効性95%)

まず、この文献の解釈で注意しなはならない事

東洋人4%しか含まれていない

MITがAIで予想した文献では、東洋人は効果が減るかもしれないという話も出てきております。

 一足先に使用開始されている中国シノファーム社製不活化ワクチンの有効性は79~86%と言われており、西洋製mRNAワクチンより効果が低く、これだと、経鼻インフルエンザ生ワクチン(フルミスト)の当たり年くらいの効果です。中国製ワクチンの性能が悪いのか、もしくは、治験対象者が白人ではなく、黄色人種が大半であったからなのか、不明であります。

ワクチン接種後、皆が3密フリー、マスクフリーで生活したわけではない

接種後もそれなりにマスクして、感染に注意しながら生活したのに、感染しているのか、皆がフリーで生活して感染したのかは不明です。というか、プラセボブラインドなので、ワクチン接種した人も、自分がプラセボなのか、そうでないのかは知らないわけですから、マスク外して生活する人のほうが少ないかもしれません。(アメリカ人アバウトだからマスク外してたかもしれませんが) マスクしてても感染していると考えれば、それほど強力な予防効果は無いかもしれません。

有効性は95%

巷では有効性95%とか言っていますが、95%の人が罹らないのではなく、「非接種群の発症率よりも接種群の発症率のほうが 90%少なかった」という意味で、発症リスクが、0.1 倍つまり 10 分の 1 になるということです。(これは、無症状感染者はカウントされていませんので、あくまで症状がでてコロナと診断された人の比率だけになります。)
 つまり、10倍濃厚接触したら感染するかもしれません。いわゆる3密でマスク外した状態で感染者と接した場合の効果は限定的だろうと考えます。(国民の70%以上がこのワクチンを接種してくれたら、別ですけど)

ファイザーの臨床試験では、10 人が重症の COVID-19 を発症していますが、 9 人は対照群でみられ、COVID-19 ワクチン接種群では 1 人でした。

つまりワクチン接種したけど、重症化しています。

また、有効性を評価できたのは75歳までで、それ以上では、数が少なく、評価できていません。

 2021年からこれらのワクチンの日本での臨床試験が行われます。東洋人ということで効果が落ちるのか、もしくは、アメリカより衛生観念が高いから効果がさらに上がるのか、注視しています。

いまの結論

 現時点でのmRNAワクチンでは、2021年で生活様式をコロナ禍前にもどせるほどの効果は期待薄で、重症化予防としての効果を期待する程度となると、麻しんワクチンほど有効ではなく、インフルエンザワクチンよりは有効というレベルと考えられ、ワクチン接種者もコロナ感染していないかどうかをチェックしておかないと、飛行機などの密室への搭乗は不安が残ります。

日本で集団免疫に必要な接種率計算:2021/1/2追記

natureの文献で面白いものを見つけました。
『pI = 1 – 1/R0』という公式で、R0はよく言われている実行再生産数で、PIは実行再生産数を1以下にするための必要集団免疫率だそうです。

文献ではフランスにおけるCOVIDの実行再生産数は3なのだそうで、この公式を使うと、67%となり、人口の67%が接種完了しないと、流行が収まらない計算になります。(あくまで現在接種可能なワクチンが、(発症予防効果ではなく)感染予防効果が非常に高いワクチンであると過程した場合ですが。)

実行再生産数は、それぞれの社会的習慣により変化します。

日本は、社会的距離が離れており、マスクをする習慣があるので、実行再生産数は割と低めであり、こちらのサイトから引用すると、R0=2.27(2020/4/3)~0.5(2020/5/11)となっています。最近変異株が出てきていますので、これより高くなるかもしれませんが、現時点での最高値2.27で計算すると、56%となります。

ただ、皆がマスク外していない状態で必要なワクチン接種率ということになります。

これを都道府県別に計算すると、もっと違ってきますね。

東京の最高値は3.62(2020/3/29)ですので、これだと72%の接種率が必要となります。

大阪の最高値は5.54(2020/6/22)となり、82%の接種率が必要で、これはそうそう達成無理ではないかと思いますね。

  • そういえば、麻しん風しん混合ワクチンの接種率は?
    例えば、麻しん風しんワクチン(無料接種)(実行再生産数は麻しん15で、風しん7くらい)の接種率ですが、乳児は90%で、4期高校生だと75%くらいに落ちてます。皆が危機感もっている今なら、無料接種なら、80%くらいの接種率は出せるかもしれませんね。しかし、これを毎年維持していくとなると、無理でしょう。麻しん風しんワクチン4期の接種率75%の意味するところは、身近で感染者がわからなくなったら、保健所が催促の手紙を出したとしても、無料でもこの数字になります。翌年から有料化したら、さらに落ちます。(ちなみにどのような状況でもワクチンを拒否する群(ワクチン忌避者)は人口の5%くらいいます。)

和歌山は感染者数が少ないので、あまりあてになりませんが、大阪の隣なので、大阪と同じ接種率で考えないとだめかもしれません。

最高値で考えると無理っぽく思えますが、平均値3で考えると、できなくはない数字ではありますが、やっぱりマスクは外せないかもしれませんね。

 日本の人口が1億2000万人として、COVIDに罹患しにくい15歳未満1500万人を差し引いて、1億500万人のうちの60%となると、6300万人ですから、この人たちに2回接種するとなると、1億2600万回の予防接種ですわ。気が遠くなりますな。

これで、1年しか免疫持たないとかになったら、もう、考えたくないですね。

関連リンク

  • mRNAの製造方法:BioNTech/Pfizer の新型コロナワクチンを〈リバースエンジニアリング〉する


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