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髄膜炎菌

髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)

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病原体

髄膜炎菌(Neisseria meningitidis)は患者のみならず、健常者の鼻咽頭からも分離され、人にのみ感染します。
 この菌はくしゃみなどによる飛沫感染により伝播し、気道を介して血中に入り、さらには髄液にまで進入することにより敗血症や髄膜炎を起こします。

 この菌は、細菌性髄膜炎を起こす細菌のうち唯一、流行性の感染を起こす病原体です。この細菌は敗血症と髄膜炎という、いずれも重症の感染症を起こし、それが感染力こそ弱いものの、伝染します。しかも風邪のように飛沫感染で伝染します。

 お子さんの髄膜炎を看病していたら、今度は自分が髄膜炎で倒れる、というような事態が起こり得ます。そこに、この細菌の恐ろしさがあります。

 眼の結膜や生殖器の粘膜に定着することもあります。具体的には、キスや真近での咳、飲食の器具の共用などで起こりえます。普段、人々の約10%程度が自分の鼻やのどの粘膜に髄膜炎菌を定着させています(多くは、病原性のない、分類不能の髄膜炎菌)。その定着の割合は、髄膜炎菌性髄膜炎の流行時には上昇します。また、髄膜炎菌が鼻やのどの粘膜に定着している率は、年齢によって違います。ノルウェーやイギリスにおける調査では、4歳未満では、3%未満ですが、年齢とともに上昇し、15-24歳で24-37%と最高値となり、その後は減少し、高齢では、10%未満となります。また、髄膜炎菌が鼻やのどの粘膜に定着している率は、貧しい人々で高いです。経済的に豊かな人々に比較して、貧しい人々は、狭い住居の中で、人と人とがより接近して暮らしているためかと思われます。また、髄膜炎菌が定着している率は、いろいろな地域から集まった人たちの間で高いです。たとえば、軍隊の新兵たち、巡礼者、寮(寄宿舎)制学校の学生・生徒たち、あるいは刑務所の囚人たちなどの間で高いです。

 なお、日本での健康な人における髄膜炎菌の保菌状況については、欧米に比べ格段に低く、0.4%とする報告があります。健康な人5886人の口蓋扁桃から髄膜炎菌の分離を試みたところ、25人から25株の髄膜炎菌が分離されました。血清群は、B群9株、Y群4株、群分類不能12株でした。

髄膜炎菌の種類

日本における髄膜炎菌のタイプ別頻度

  髄膜炎菌は莢膜多糖の種類によって少なくとも13 種類(A, B, C, D, X, Y, Z, E, W-135, H, I, K, L)のSerogroup(血清群)に分類されているが、起炎菌として分離されるものはA, B, C, Y, W-135 が多く認められ、A, B, C が全体の90%以上を占める。

 日本においては第二次世界大戦前後が症例数のピークで、1960年代前半からは激減しており、近年では極めて稀な疾患となっていますが、時々、本邦で流行がみられ、発症した場合の死亡率は20%と極めて危険な感染症であることは間違いありません。1986 ~1994 年の間での小児性化膿性髄膜炎184例のうち、髄膜炎菌によるものはわずか1例(0.5%)と報告されており、日本では特にBおよびY群が起炎菌であることが多い。

分布

髄膜炎ベルト

 しかし、海外においては特に髄膜炎ベルト(meningitis belt)とよばれる、アフリカ中央部10か国(ベナン、ブルキナファソ、チャド、中央アフリカ、コートジボアール、ガンビア、ガーナ、マリ、ナイジェリア、スーダン)においてその罹患率が高く、また先進国においても学生寮などで局地的な小流行が見られています。

臨床症状

髄膜炎菌性髄膜炎の潜伏期は2-10日、平均で4日程度です。髄膜炎菌性髄膜炎の患者の致死率は10-15%です。治療がなければ致死率は50%とされます。早期に診断され適切な治療がなされても致死率は5-10%とされています。

髄膜炎菌性髄膜炎の病気の進行は速く、発病から24-48時間での死亡が見られます。回復した患者についても、10-20%で、聴力障害、学習障害などの後遺症が見られることがあります。髄膜炎菌性髄膜炎以外の髄膜炎菌感染症として、より頻度は少ないがより激烈な髄膜炎菌性敗血症があります。出血性の発疹と急速な循環器系の虚脱を起こししばしば死に至ります。髄膜炎菌性敗血症の致死率は40%に達することもあります。

治療

第一選択薬としてpenicillin Gが、第二選択薬としてはchloramphenicol が推奨されています。また一般に髄膜炎の初期治療に用いられるcefotaxime(CTX)、ceftriaxone(CTRX)、cefuroximine は髄膜炎菌にも優れた抗菌力を発揮するので、菌の検査結果を待たずしてCTX 、CTRX をpenicillin G と併用すれば起炎菌に対して広範囲な効果を現し、早期治療の助けとなる。

このように、抗生物質で簡単に殺せる菌ですが、死亡率が高いのは、なんといっても発症から死亡までの時間が恐ろしく短いという事です。このため、予防が最も大切となってきます。

予防接種

髄膜炎菌のワクチンには、A, C, Y, W-135群に効果があるが、その効果は数年しかもたないもの(ポリサッカライドワクチン:MPSV4:Meningococcal Polysaccharide Vaccine)と、現行のヒブワクチンなどと同じ製法で、効果の強いもの(結合型ワクチン:MCV4 : Meningococcal Conjugate Vaccine)の2種類が現在海外では使用されています。
B群はその構造が人間の身体の抗体を誘導しない、という特殊性があり、現在までワクチンは開発されていませんでしたが、最近やっと開発(Bexsero)され、発売されています。

その中で、ようやく2015年5月18日にMCV4製剤(サノフィパスツール社製メナクトラ)が発売されました。

イスラム教のメッカ巡礼時期にサウジアラビアへ入国する際には、A, C, Y, Wに対する髄膜炎予防接種証明書を求められます

 渡航者以外への髄膜炎菌ワクチンの適応としては、発作性夜間ヘモグロビン尿症(PNH)や、非定型溶血性尿毒症症候群(aHUS)の方に、抗補体(C5)モノクローナル抗体製剤:エグリズマブ(ソリリス™)を投与する場合の髄膜炎菌予防があります。

結合型ワクチン:MCV4

効果が強いものの、高価で、使用期限が短いため、当院では今まで扱う事ができませんでしたが、Menactra(sanofi pasteur)が、2013年3月に、製造販売承認の申請を出したため、2014年頃に、日本で承認が降りる予定です。

メナクトラ(MCV4-D)国内発売決定

メナクトラ(サノフィパスツール社)

メナクトラ

メナクトラ(MCV4)は2015年5月18日国内発売決定しました。認可ワクチンとなりましたので保証が使えますが、価格は輸入品の約2倍にはねあがっています。

当院では5月20日から接種開始します。
2歳から接種可能で、上述のMPSV4より効果が強く、長持ちします。欧米留学の場合は必須ワクチンです。

※留学の場合はB型肝炎ワクチン接種も必須ですが、これには最低6ヶ月必要です。また書類提出は登校3〜4週前までとしている例が多いのでかなり早めの接種開始が必要です。

接種について

認可ワクチンのため、日本医薬品医療機器総合機構の補償がつかえます。

接種適応

  • エクリズマブ(遺伝子組換え)投与対象患者(この方のみ保険適応あり)
  • 以下の状況にある2歳以上のお子様と成人

摘脾、無脾症候群、免疫不全患者、髄膜炎ベルト地帯への渡航者、イスラム教のメッカ巡礼時期にサウジアラビアへ入国する方、欧米諸国への留学時

  • 接種する事による有益性が危険性を上回ると判断された妊婦または、妊娠している可能性のある婦人または、授乳中の婦人

接種不適応な方

  • 2歳未満
  • 免疫抑制剤を投与されている場合。(例 副腎皮質ステロイド剤など)
  • 現在発熱している方
  • 以前、同ワクチンや、同様のワクチンで、アレルギーを起こした可能性のある方

接種回数

1回だけ0.5mlを筋肉内に注射します。(小児も同量です。)

※なお、免疫低下疾患の患者様に投与する場合、メナクトラは、小児用肺炎球菌ワクチン(プレベナー13)と構造的に同じジフテリア結合型であるため、プレベナーと同時接種すると、互いに干渉作用がおこり、お互いの効果が落ちる可能性が指摘されており、4週以上間隔を開けて、互いに接種すべきであるとACIPから指摘されています。しかし、この但し書きは日本にはありませんので、接種したらダメとうわけではありません。

効果

ワクチン接種後に産生される抗体によって、髄膜炎菌A,C,W135,Y群の感染から免疫されます。他のグループ(A,C,W135,Y型をのぞく髄膜炎菌グループ)による髄膜炎に、効果を認めません。髄膜炎菌以外の病原体による髄膜炎に対しても、効果を認めません。

16歳以降で接種した場合、追加接種の必要はありません。
16歳未満で接種した場合は、16歳以降のアメリカ留学時は1回の追加接種が求められる事が多いです。

副反応

注射局所の違和感、発赤、硬結、疼痛を生じる場合があります。
20~55歳における本剤接種後

注射部位の疼痛18.2%
筋肉痛9.1%
頭痛18.2%
倦怠感18.2%

ポリサッカライドワクチン:MPSV4

※Mencevaxは、メナクトラ国内発売に伴い、当院での取り扱いは終了しました。
Mencevax ACWY(Glaxo Smith Kline)

Mencevax ACWY(Glaxo Smith Kline)

効果が弱いものの、結合型ワクチンより安く、消費期限が長いため、当院で扱っています。
個人として、発症予防においては、十分な効果があります。

 髄膜炎ベルト地帯への渡航や、サウジアラビアへの入国において、このワクチンで問題なく、認められます。

 アメリカの寮生活において、特別な指定がなければ、このワクチンで問題ありません。(ワクチン種類がMCV4と指定されている場合はこのワクチンは不適当です。21歳未満はMCV4と指定されている事も多いようです。)

接種について

輸入ワクチンのため、日本医薬品医療機器総合機構の補償はありません。輸入会社IMMCの補償はありますが、基本は自己責任での接種となります。

当院の接種適応

  • 6歳以上のお子様と成人
  • 学生の場合、学校から特にワクチンの指定がない方
  • 接種する事による有益性が危険性を上回ると判断された妊婦または、妊娠している可能性のある婦人または、授乳中の婦人

接種不適応な方

  • 6歳未満(結合型ワクチン:MCV4をお勧めします。)
  • 学校からMenactra又はMenveoという指定がある方
  • 免疫抑制剤を投与されている場合。(例 副腎皮質ステロイド剤など)
  • 現在発熱している方
  • 以前、同ワクチンや、同様のワクチンで、アレルギーを起こした可能性のある方

接種回数

1回だけ0.5mlを皮下に注射します。(小児も同量です。)

効果

ワクチン接種後に産生される抗体によって、髄膜炎菌A,C,W135,Y群の感染から免疫されます。他のグループ(A,C,W135,Y型をのぞく髄膜炎菌グループ)による髄膜炎に、効果を認めません。髄膜炎菌以外の病原体による髄膜炎に対しても、効果を認めません。

接種後 5年間は、追加接種の必要はありません。

副反応

注射局所の違和感、発赤、高潔、疼痛を生じる場合があります。

注射部位の発赤3.6%
注射部位の硬結1.8%
注射部位の疼痛19.8%
頭痛13.5%
倦怠感4.5%
39.5℃以上の発熱3.6%

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