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夜泣き

夜泣き
2003-11-01作成
2006-05-01Internet公開
2015-02-08 change address
2017-05-15 (月) 15:38:26更新
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 さて、夜泣きについて述べる前に、いったい夜泣きって何なのか?について考えます。
広義の夜泣きは、(おそらく、一般の方の理解としては)『夜に子供が泣くこと』だと思います。
しかし、先ほど子供の泣く原因について述べましたとおり、いろんな原因で泣くわけで、その原因が夜に起これば、夜に泣いてしまうわけですから、これらが全て夜泣きに含まれてしまいがちですが、このように定義してしまうと、原因と対処方法に一貫性がもてなくなってしまいます。
よって、このマニュアルでは、夜泣きというものを別項として取り上げました。

安眠レッスンPHP

夜泣きの定義

夜泣き(sleep related nighttime crying)は診断に使用する病名ではなく、明確な定義も無いが、我が国の多くの乳幼児に起こる

「これといった原因もなしに毎晩のように決まって泣き出す」現象

を指す用語である。

子どもの睡眠障害 p89夜泣き より

最近、子どもの睡眠に関する研究成果の発表から、夜泣きについて、いろいろ書かれてきている論文や、書物をみても、たしかに、夜泣きというものは、原因がわからない泣きを示しているのではありますが、だからと言って、

  • 1)親が見て原因がわからない

というのと

  • 2)専門家から見て原因がわからない

というのでは、まったく違うので、一緒に考えるわけにはいきません。

 厳密な定義は存在しませんが、専門家から見ますと、その "親が見て原因がわからない泣き" の多くは、以下の原因によるものが多いようです。

睡眠サイクルが不安定な時期(4ヶ月~1歳半)に、夜中を朝と感じ、目覚めてしまい、その環境がまったく違うことに戸惑いを感じて泣く行為

これは、入眠時の泣きではなく、入眠後、覚醒して泣く行為を示しています。主に概日リズムが主因の泣きを表しているように思います。

ただし、後述しますが、厳密には睡眠サイクルは情緒制御の影響も受けており、単純に睡眠サイクルだけの問題で切り離せるものでもありません。いままで、夜泣きについて、文献をしらべつつ、相談にのっているにつれ、数年前から著者は以下の状態も夜泣きと考えていますので、付け足しておきます。

深い睡眠が得られず、一旦眠っても、すぐに起きてしまい、感情の制御ができずに泣き叫ぶ行為

これは、主に情緒制御不安定を表した表現にしています。

これらの泣きは、前述した、肉体的不快ではなく、精神的不快による泣きの仲間に近いと考えてください。(精神的に近いんですが、だからと言って、抱っこで揺らしても泣きやまないタイプも存在します)

 夜泣きについて調べると、まず驚くのは、西洋社会に『夜泣き』にあたる単語が無いという事でした。
欧米ではコリック(colic)と呼ばれているものが日本での夜泣きに相当する所がありますが、諸外国での発生時期は生後2週間~3ヶ月までであり、日本独特の発生時期(4ヶ月~1歳半)との違いがあるため、すこし違うな~という印象をもちます。生後2週~3ヶ月までの泣きは、先ほど自我発生前の部分で述べた内容の泣きですし、そもそもcolicとは腹痛を意味していますから、げっぷ不足~腹慢や便秘・腸内細菌叢の不良からくる夜間の腹痛が原因の泣きですので、日本独特の『夜泣き』とは違うと考えられますし、日本人の子供の腸内細菌は、アジア人の中では、かなり優等生レベルだそうですし。
 さらに驚くべきことに、我々と同じアジア人国家でも他国では夜泣きに相当する言葉が無いそうです。
このことから、日本の国民性や社会性、文化、親の養育態度との関係も疑われており、日本の親は多少泣き声に慣れる必要もあるのではないか?と言う人もいます。

 しかし、眠りに関しては、日本の子供は、世界で最も睡眠時間が短いとされており、夜泣きには文化的な睡眠の違いがいろいろ影響してそうですし、日本の文化の悪い所があるんじゃないかと疑っております。

ただ、最近日本で発売されている赤ちゃんの睡眠に関する西洋の翻訳本をみれば、どの国のお母さんも、赤ちゃんの寝かしつけに苦労しており、いわゆる『夜泣き』という単語はなくても、夜に泣いて眠らない子どもに困っているお母さんが一定数居るという状態は万国共通なんだなあと感じます。

発生時期

3-4ヶ月以降~1歳・2歳

経験あり今もある
1歳6ヶ月児の母親へのアンケート30.4%29.5%
3歳児の母親へのアンケート35.5%9.1%

予想されている実態頻度は50~60%
人間の表情や動きを認知し、その意味を読み取る事ができるようになる時期から発生する。というのが、特徴です。

発生原因についての考察

 最近は、functional MRIや、近赤外線脳血流計などの、非侵襲的検査が活発に行われるようになり、成人において、睡眠のメカニズムがかなり解明されています。

 ただ、乳児においては、ただでさえ泣きわめきやすい状態の夜泣きっ子が、そのような検査機器をつけて、静かに寝てもらうというのは、不可能であり、成人からの研究結果と、乳幼児における状況証拠的研究結果から類推することは、かなり可能となってきました。

まずは、成人の睡眠について考えよう。

乳幼児の睡眠については、完全な解明はまだ先の事ですが、成人については、ほぼ理解されています。

成人の睡眠は主に3つの機構から影響を受けます。

  1. 恒常性機構
    長く起きていると、あるいは睡眠不足になると眠くなるという機構で、これは、活動中に酷使された脳を積極的に休ませるという目的があります。

  2. 体内時計
    概日リズムの事です。夜になると眠るという機構です。ふだん眠りにつく時刻になると、その日の疲れに関わりなく眠ることができる。一方、徹夜後に朝から眠ろうとすると、疲労感は強いのにぐっすり眠れないという経験をする。これは、夜にならないとよく眠れない、あるいは夜になると自然に眠くなるという、体内時計機構による睡眠制御です。主に、光による制御を受けており、網膜→松果体→メラトニン放出によってもたらされます。

  3. 情動系機構
    身の危険を感じたときには目を覚ますという本能にかかわる部分と、大事な用事があるので、何時には起床しなければならないという社会生活にかかわる部分があります。明日、ちゃんと起きなければならないと考え続けながら眠ると、他の事を考えながら眠るときより、眠りが浅くなり、起きやすくなります。
    うつ病などで入眠障害と中途覚醒が生じるのは、主にこの機構のアンバランスが原因となります。

次に、文献的考察をしてみます。

  • 遅く寝かす習慣は、夜に起きやすい(夜遅く眠ると、長く眠れなくなる)
    • 入眠時刻とその最長睡眠時間との問に負の相関が認められ,入眠時刻が遅くなればなるほど最長睡眠時間が短くなることが初めて明らかにされた。
        修正2か月以降(予定日から満2か月以降)最長睡眠時間とその入眠時刻の有意な負の相関がみられたことから、乳児の睡眠覚醒リズムの24時間周期ができる2か月頃から、20時頃に早寝させることにより長い夜間睡眠時間をもたらすことが大切である。そのためには、養育している産後の母親自身も睡眠や食事等、規則的な生活をすることが大切であると考えられる。また、母乳は自立授乳で差し支えないが、離乳食やおやつは時刻を決めて与えることが重要な育児法の一つである。
      乳児における夜間の就寝時刻が最長睡眠時間の長さに及ぼす影響 安藤朗子

概日リズムについて

概日リズムとは、夜になるとかってに眠くなるという体内時計の事です。

 生後3か月になると、赤ちゃんは、脳の中でメラトニンという睡眠ホルモンを作ることができるようになり、朝に目覚めて、夜は長く眠れるようになってきます。

生後3か月まではメラトニンが十分に作れないため、夜間に何度も起きます。これを補助するため、夜間のお母さんの母乳中には、メラトニンが沢山ふくまれています。

 新生児期に、夜間に明るい環境で育ててしまうと、昼と夜の周期をつかさどる生物時計がその明るい環境で適応してしまい、夜の睡眠時間が短くなります。そして、その短くなった睡眠周期は、明るい環境を是正しても、成人後も一生つづいてしまいます。これを光インプリンティング現象と言います。
 睡眠が短く設定されると、脳の発達、子供の体重増加ともに、低下することがわかっています。

 故に、乳児期から規則的な生活リズムの形成を進めていくことが、子どもの健康を保持増進していくうえで、とても、とても重要です。

わが国では,近年大人社会の夜型化にともない,乳幼児の就寝時間の遅延や起床時間の遅れが指摘されています。子供の睡眠時間は世界最短であるとも言われています。さらに,これにともなう,摂食リズムの乱れや生活リズムの乱れなどの影響が現れているとも言われています。

 こういった事も夜泣きと深い関連があります。よって、対処方法としては、いま現在くるっている生活リズムをいかに、規則的な生活リズムに変えていくかという事も重要になってきます。

概日リズムの発達過程(欧米人より眠りが浅い?)

1)まずは、『カリスマナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』に記されている赤ちゃんの睡眠発達グラフは、大体こんな感じです。
カリスマナニーが提示する理想的な年齢別睡眠時間

2)一方、著者の感覚では、日本人はだいたい私の経験からはこんな感じ。あくまで理想です。
日本人の一般的年齢別睡眠時間

3)日本人の実測値

日本人の年齢別睡眠時間実測値

 実際の日本人では、どうなっているかという横断的調査結果はこちら。個人個人、バラバラですので、ここは、皆さん、個性があって良いのだと思ってください。
 これを見ますと、9~10か月までの子どもで、カリスマナニーのスケジュールどおり眠れている子供は一人もいませんので、これって、欧米の親の労働時間が短いからか、人種の問題か、広い家にすむ影響か、離乳食の開始が日本より2か月早い影響もあるのか、など、いろいろ考えてしまいます。

月齢平均睡眠時間
3~4か月12時間47分(±1時間9分)
9~10か月11時間40分(±51分)
15~17か月11時間33分(±51分)
乳幼児の睡眠覚醒リズムと食事および母親の睡眠
生後3か月から17か月までの横断調査
小児保健研究Vol65, No4, 2006 p547-555

以上から考えてみた赤ちゃん夜泣きの原因と解決策

 赤ちゃんは、徐々に発達する中で、成人の睡眠に近づくが、その過程で、アンバランスが生じる事で、夜泣きとして表れる。

 そう考えると、『夜泣き』は、(厳密には不明な点はまだ残るものの、)乳幼児夜泣きでは睡眠サイクルの不安定さが原因であり、また、情緒制御システム不安定な状態では睡眠が浅く、直ぐめざめてしまうということが、睡眠サイクル不安定を助長しているという事が主な原因ではないかと考えられます。

成人と違う睡眠サイクル

赤ちゃんの睡眠サイクルが変化していく過程で、夜間を夜間と思わない→眠くない→起きていても(両親は寝ていて)刺激が無い(刺激がほしい)→泣く

情緒制御不安定

前頭葉機能が低下して、辺縁系の興奮が高まっても抑えられず、睡眠が浅くなる→すぐ目覚めてしまう→辺縁系が興奮しているので、不安を感じる→泣く

睡眠サイクル不安定と情緒制御不安定は混在する可能性が高い。それは、夜泣きをあやすことに親が疲れ果ててしまうと、それによって子供の情緒制御の発育が遅延してしまう(※夜泣きの関係性障害)という事もありますし、セロトニン不足はメラトニン不足と同義であるからです。

また、その解決策には、日頃の対応が肝心です

 ※)幼児の夜泣きに関しては、子どもの眠りの質問票に記入してから発達に詳しい小児科医を受診すれば、何らかのコメントを頂けるかもしれません。
当院ご相談の際は、睡眠表とともに、記入してから持ってきてもらえると助かります。

1)概日リズムの未完成

不眠パターン行動特性
眠くない・夜に眼が生き生きとして、笑顔にあふれている
・夜に活力にあふれている
・昼夜が逆転している
  • 寝かしつけの時間が不規則
  • 寝る前のテレビ・スマホ・ゲームなど。
  • パパが夜中に帰ってきて遊ぶ
  • 夜中に明るく電気をつけている

続けると癖になることも含む

  1. 無理に寝かせず、機嫌が悪くなったり、目をこすり始めたら寝かしつける
  2. ベッドで絵本を読んだり、即興で作り話
  3. 寝る前の時間をコミュニケーションの時間だと考えて大切にした
  4. ドライブに連れて行く
  5. 手足をお湯につけて温める
  1. 光のメリハリをつける。(朝と昼は太陽光線にあてる、夜は暗く)
  2. 昼寝は浅く、短くする。
    (明るい所や、やや熱い所で寝かせる)
  3. 夕方うとうとし始めたときに、寝かせないようにする
  4. 入眠、起床する時刻を(たとえ休日であろうと)一定に維持する。
  5. 入眠前のテレビ、スマホ、ゲーム中止。(朝に変更?)

概日リズムを具体的にしつけていくプログラムは、『カリスマ・ナニーが教える赤ちゃんとおかあさんの快眠講座』朝日新聞出版に記されていますので、どのように日常育児を組み立てて良いか全くわからない方には、ある程度参考になります。が、これも度合の問題で、この本の通りにいきなり押し付けようとしますと、悪化しますので、あくまで、徐々にあてはめていくという感じがよろしいかと思います。

・睡眠の客観的評価にこちらの睡眠表をご利用下さい。

2)疲労不足

不眠パターン行動特性
眠くない・夜に眼が生き生きとして、笑顔にあふれている
・夜に活力にあふれている
・昼夜が逆転している

適度に頭が疲れるような...

  • 遊びが足りない
  • 体験が足りない

続けると癖になることも含む
諦めて笑顔で遊びに付き合う

  1. 日中に遊びや体験を増やし、適度に疲れさせる
  2. 昼寝は浅く、短くする。
  3. 昼寝は明るいところで寝かせる

3)睡眠習慣不足(行動性不眠症

不眠パターン行動特性
眠れるけど眠らない
もっと遊んでいたい
・夜に寝室に入るのを嫌がる
・寝る時間なのに、(自分のお気に入りの)絵本やおもちゃを
(読め!と)持ってくる(やや不機嫌で)
  • 眠るしつけの不十分
     (眠るべき決まった時間に寝かしつけようとしていない。)
  • 寝る前のテレビ・スマホ・ゲームなど。

続けると癖になることも含む

  1. 隣で寝たふりをして、放置
  2. 背中をトントンしたり、おでこを撫でたり、子守唄を歌う
  3. しかたなく、眠くなるまで遊んであげる(これをすると強化されて状態化します。)
  1. 入眠儀式をつくる。
  2. 暗くする
  3. 1人にする(可能なら)
  4. 無視する
  5. その他(小児の睡眠問題に対する行動科学的アプローチ)
  6. 入眠前のテレビ、スマホ、ゲーム中止。(または、朝に変更?)

4)情緒制御の不安定

辺縁系と前頭葉のバランスで起こる夜泣き
 発達途中のため、正常子供において、成人の、睡眠随伴症や、うつ病の軽いものと似た状況がおこっており、ここに、親子の関係性障害が絡む事で、相互に悪化しやすい状況に陥りやすい。

 前頭葉未発達のため、頻回に起こるレム睡眠時(人によってはノンレム期も)の記憶回想に伴う感情(辺縁系)の高ぶりを抑えることができず、叫んでくるのではないかと著者は(成人の研究結果から)推測しています。
 よって、これを収めるには、前頭葉の発達を育む事に加え、日中の興奮や不満~不安・恐怖体験を控える必要があるかと思われます。

 とは、言っても、その子供にとって何が興奮や不安、不満の原因になっているのかについては、大人の感覚からは想像し難い事も多々あります。(こっちは良かれと思ってやってあげてたら、実は、自分でやりたかったらしいとか.....なかなか気づけません。)

 又、希に、このタイプが酷く続く場合は、後述する病気に近い夜泣きを考慮する場合もありますが、いずれにせよ、すぐに治る事は少ないので、地道なトレーニングが必要で、それまで親が耐えられない場合は、漢方薬などもお勧めします。

不眠パターン行動特性
すぐ起きる・寝言でうなされる、泣く
・目覚めて、叫び、あやしても治まらない。
・ちょっとした物音で目を覚ます
・中途覚醒する。(寝ている間に複数回起きる)

扁桃体などの大脳辺縁系の過活動(レム・ノンレム期の記憶整理も含む)

★不満や不安・感情が爆発しているのに、わかってもらえていない

  1. その子供にとって、満たされない思い。(欲求不満に繋がる事)
    (注:あくまで ”その子供にとって” であり、”親から見て” ではない。)
    欲求、願望を生み出す源ですので、満たされない思いの強さは辺縁系を活発にします。
    1:(その子にとっての)ダメ出し
    2:親が先回りしてその子どもがやりたい事をさせない
    3:親の無視(子供に語りかけていたとしても、子供の反応に対応していなかったり、気持ちをくみ取れていない場合)
    4:親のうつ病(無表情)も含む


  2. その子供にとって、刺激の強い体験
    (注:あくまで ”その子供にとって” であり、”親から見て” ではない。)
    子供によっては、人ごみのざわめき、きらきら光るもの、ある種の音、ある種の肌触りなども著しく嫌う場合がある。
    1:恐怖・不安体験
    2:興奮体験(楽しすぎる体験も含む)

  3. その子供の素因(普通の子供より辺縁系が過活動になりやすい子)

続けると癖になることも含む

  1. おしゃぶりをくわえさせる
  2. 背中をトントンしたり、おでこを撫でたり、子守唄を歌う
  3. 抱っこして歩き回る。ひたすらあやす
  4. 添い寝をしている母親の髪を触らせる
  5. できるだけそっとおろす。時間をかけてゆっくり首の下から腕を抜く
  6. 添い乳
  7. 泣き疲れて眠るまで放置する
  8. 一度起こしてから、改めて寝かしつける
  9. 移行対象(ハンカチ、ぬいぐるみ など)を使う
  10. 漢方薬を使う

※3か月未満児の場合は、Harvey Karp先生方式を使用する。

日中、日ごろから、下記を行う。

★大脳辺縁系を刺激しない。

  1. ダメ出しを減らして、褒める~認める事を増やす
  2. スキンシップを増やす(抱きしめてあげる、頬ずりしてあげる)
  3. やりたい事を気が済むまでさせてあげる
  4. かまってあげる
  5. 恐怖や不安な体験をしていないか注意して減らす。
  6. 興奮しすぎる体験を控える。(パパによる寝る前の"高い高い"をやめただけで眠るようになった子もいます。)
  7. 母親の鬱がある場合は、一旦育児から離れるか、母子ともに漢方なども考慮する。

 (原因がよくわからない場合は、夜泣きの軽かった日と酷かった日を比べて日中の興奮活動の程度に差がなかったか、考えてみてください。)

前頭葉の低活動

★不満や不安・感情を抑える前頭葉が育まれていない

  1. 親との会話不足(親と子供のメディア漬け)
    4か月から母親の表情を理解し、笑顔を求めてきますが、5-6か月までは、横顔は認識できませんし、8か月までは、視線の合った顔だけを記憶します。よって、視線を合わせない、スマホ・テレビ見ながら子育ては、子どもの前頭葉血流を刺激しません
  2. 睡眠不足
  3. 親が先回りして、子供に考えさせない
  4. 子どもに我慢をまったくさせない。(頭(前頭葉)は使わないと発達しない。)
  5. 体を使った運動遊びが少ない
  6. 歯が生えているのに、柔らかい食べ物ばかり与えて、良く咬むという習慣が少ない
  7. その子供の素因(普通の子供より前頭葉の発達の遅い子)

続けると癖になることも含む

  1. おしゃぶりをくわえさせる
  2. 背中をトントンしたり、おでこを撫でたり、子守唄を歌う
  3. 抱っこして歩き回る。ひたすらあやす
  4. 添い寝をしている母親の髪を触らせる
  5. できるだけそっとおろす。時間をかけてゆっくり首の下から腕を抜く
  6. 添い乳
  7. 泣き疲れて眠るまで放置する
  8. 一度起こしてから、改めて寝かしつける
  9. 移行対象(ハンカチ、ぬいぐるみ など)を使う
  10. 漢方薬を使う

※3か月未満児の場合は、Harvey Karp先生方式を使用する。

日中、日ごろから、下記を行う。

★前頭葉を育む

  1. 親との会話を増やす(テレビやスマホの子守を減らす)
  2. 同じ物を見て共感する。
  3. 子供に笑顔で接する。
  4. 親が先回りせず、じっくり子供に考えさせる
  5. 適度に我慢をさせる。自分で耐える訓練(放置する。放置する場合は、時間(30分程度)を決めて対応する事が望ましい。)
  6. 午前中にリズミカルな運動あそびをする(体の左右をバランスよく使ったり、触れてあげたり)

5)軽微な体調の不良や不快

不眠パターン行動特性
すぐ起きる・寝言でうなされる、泣く
・目覚めて、叫び、あやしても治まらない。
・ちょっとした物音で目を覚ます
・中途覚醒する。(寝ている間に複数回起きる)
  1. 慢性の鼻閉(口呼吸で眠っている)
  2. 肌触りの嫌いな衣服
  3. 不快な温度(熱い、寒い)など
  4. 軽度の胃食道逆流、喉頭軟化症など、新生児に詳しい小児科医でないとわからない場合もある

ものによっては、小児科に相談して治療してもらう。

この様に考えますと、原因1)、2)、3)、4)は、環境・文化の影響を受けますし、さらに4は、人種や遺伝の影響を受けると考えられ、世界各国における、夜泣きの頻度や、夜泣き自体に対する認識の違いが起こってくるのも納得できます。

※1)、4)が3歳以降長く続く場合は、発達障碍の可能性も示唆されてきます。

やや病気に近い夜泣き

 今まで解説してきた対処方法を全ておこなっても続く夜泣きに対しては、やや病気に近い夜泣きを考えていきます。種類は多種に及びますので、基本は小児科医に御相談ください。

夜泣き類似疾患について

Q&A

「対症的対応は癖になる場合も含まれる」という事は、使用すべきでないという事ですか?

A:いいえ、そういうわけではありません。
 文献にも紹介しましたが、母親や、夜泣きに対応する大人も、睡眠不足が続くと、扁桃体の血流が増え、不安や鬱傾向、イライラが募り、上述した関係性障害を伴ってきます。

 根本的方法で夜泣きが減るには、時間がかかります。それまでは、対症的対応で、逃げ切るしかありません。

 ただ、同じ方法を繰り返すと、眠りとその行為が関連付けされてしまい、それをしないと眠らないという事態になりがちです。(多くは添い乳や哺乳瓶)

 なので、一つの方法に頼らず、いろいろ変えて対応しつつ、昼間の根本的対応を行っていってください。

これらの原因は1人に1つづつですか?

A:いいえ、いくつもの原因が同時に混ざり合っている事が多いです。

根本的対応方法を行えば、必ず、夜泣きは治りますか?

A:基本的には、95%位の方は、前頭葉機能が十分発達してくる4歳くらいまでには治ってきます。ただし、上記文献でも示しました通り、人口の5%~10%は、発達障碍類縁疾患を持っており、これらは、情緒の問題や、概日リズムの問題が中学生までつづく事もままあります。発達障碍については、強い自閉症は3歳で、軽いものでは、小学校高学年で診断がなされることによって、入眠障害に対する薬物療法を追加する事もあります。

同じ兄弟でも夜泣きの程度に個人差があるのは、なぜですか?

A:概日リズムは、松果体の、情緒制御は辺縁系と前頭葉の機能に左右されますから、この部分は親の遺伝の影響を受けます。上記文献で示しました通り、睡眠障害において、1個人の影響因子としては、遺伝40% vs 環境要因55%とも報告されています。

 一方、発達障碍と診断される子どもの両親何れかに、発達障碍を伴っている可能性は70%存在するという報告もあり、睡眠障害の脳機能も、似たような確率で子供に遺伝しているハズですが、では、兄弟でも発達障碍を持っている子もいれば、持っていない子どももいる(両親の遺伝子が少しずつ混ざって遺伝するため、兄弟で全く同じにならない。)のと同じではないかと考えています。

 また、夫婦のペアリングという事から考えましても、両親ともに神経質だと、子供が神経質になる確立は高くなるはずですが、通常、神経質同士が結婚する事が多いか?と言いますとやや疑問に感じます。

ママでないと寝てくれない! ママ以外の寝かしつけはどうすればいい?

(私しか寝かしつけしていないが、どうやったらパパにもできるか? 一度お願いしたが、どうやっても泣き続けてしまう。→パパにやってほしい人多数!)

A:まず、添い乳に依存しないでも眠れている子供であることが前提ですが。

 夜は前頭葉機能が低下し、耐性がもっとも低下する時間ですので、不快を我慢する事がもっとも、出来ない時間です。心地よさを昼間以上に求める時間です。

 その時間をぶっつけ本番の父親がいきなり心地よくできるわけありません。夜のお供は、最後の山場ですので、まずは日中の対応が出来る事が大前提です。
 日中の対応をすることによって子供の信用を勝ち取れたものだけが、夜のお供が出来る権利を与えられるのです。


 では、言葉を理解できない子供が、お父さんに対して、お母さんと同じような安心、安全、安楽を感じるためには何が必要でしょうか。

 それは、言葉以外の五感で感じるしかありません。

  1. 音(心地よい抑揚のある言葉がけ)
  2. 平衡感覚(ゆったりとした揺れ具合)
  3. 視覚(笑顔)
  4. 触覚(柔らかい肌触り、柔らかい抱き方)
  5. 温覚(暖かさ)
  6. 連帯感(いつも行動を共にする事による慣れ)

    これらを総称して、スキンシップと言います。

 日中の全身を柔らかく包み込み、ゆったり揺らすような抱っこ、頻繁のスキンシップ、抑揚のある語りかけ、(人工ミルクなら授乳)から、入り、言葉以外で、その子が、お父さんは安心、安全、温かい存在である事を理解できてから、まずは、昼寝にトライです。

 そして、それがうまくできるようになったら、十分、疲れさせて、概日リズムを安定化させて、夜にトライです。

 しかし、父親が母親の心地よさを越えないと、怒ってくる場合があるので、そういう場合は、母親がある程度フェイドアウトする必要があります。フェイドアウトして、母親の心地よさにありつけず、しょうがなく、父親で我慢している間に、母親の心地よさを忘れて、父親で我慢できるようになります。

 それを続けていくと、父親が上手になってきて、父親がデフォルトになってきます。

 デフォルトになったところで、母親に変更してみてください。うまくいくと、今度は、母親だと泣く子に変わります。

 ただ、パパは自閉症気味の人は多いですから、どうしても無理な場合は、小さいうちは対応できない場合もあります。でも訓練しないよりはましになると思いますよ。

添い乳って、ダメですか?

 ダメではないですが、多用するとやめにくくなるので、(例えば、母以外と寝てくれなくなるなど。)そればかりに頼る事なく、他の方法(昼間の対応、すぐにあやさず暫く放置してみる等)で寝かす事も同時進行でトライしておくべきと考えます。

 吸啜反射は鎮静反射ですし、母子のスキンシップも鎮静作用がありますので、添い乳は非常に簡単で強力な鎮静手段であることは間違いありません。

 それだけに、多用しがちになります。

 概日リズムの項でお見せしているように、授乳時間以外は、特別お乳を咥えさせる必要はないわけですので、授乳時間以外に泣く場合は、空腹以外で泣いていますから、授乳以外の手段で眠る事が理屈上できるはずですが、添い乳で鎮静すると、母も、子も楽なので、ついついそれに依存していきます。

 母が第二子出産時や、病気の時など、父親や祖母に寝かしつけをお願いしようとしたとき、子供自体が添い乳に依存してしまっていると、急な変更が出来なくなります。

 一旦添い乳にどっぷり依存している子供に対して、いきなり添い乳なしをしますと、心理ストレスが強すぎて、睡眠不足、昼間の疳積の増加となる場合もありますので、徐々にフェイドアウトしていくのが良いかと思います。

 ただ、お母さんが特段不便を感じないのであれば、歯が生えそろうまでには、自然に不要となるケースが多いようですが、中には途中からおしゃぶりに変わって、それがずっと続いて歯並びに影響する人もいましたが。

付録1:夜泣きの関係性障害

夜泣き→児・両親ともにおこる睡眠障害→親の無表情やキレル行動→親・児ともに起る情緒制御不安定→夜泣き悪化』という、ぐるぐる回る悪循環を言います。

この状態に陥っている場合、なかなか一人では抜け出せません。
夜泣きの関係性障害

原因

  1. 夜泣きする子ども自身に問題がある場合
      【児の気質として自己欲求が激しすぎる場合(大脳辺縁系の刺激が多い児や、前頭葉の発達の遅い児)】
  2. 親に問題がある場合
      【すぐに切れる。児へのダメだしが多い、無表情な育児が多い】
  3. 1)と 2)の混合

この問題は奥が深く、第三者からでははっきりつかみ難い部分です。まるで、卵が先か、鶏が先かという議論に似ています。
親がおかしくても児はおかしくなるし、児がおかしくても、親がうつ病傾向~おかしくなります。お互いが影響しあっています。

 このような状態に陥っているとき、だれが原因であるか?についてはあまり言及しても意味がありません。私たちのところに相談にくる時点で、すでにどちらも原因であり、結果であるという状態であるためです。
これを解決するためには、どちらにも問題があるというスタンスで、改善させるアプローチが必要となります。

※)この関係性障害は、母乳よりも人工ミルク栄養の時に起こりやすくなります。

※)児同様、母も鉄欠乏である事が多く、鉄剤の服用で両者ともにイライラが収まる場合があります。

付録2:入眠儀式ってなに?

 入眠儀式とは、予め決まった行動を決まった手順で毎日行うことで,心身共に「寝るための準備」をさせる。毎日繰り返し行い,習慣づけることで効果を上げるという方法で、パブロフの犬に見られるような、古典的条件づけを期待したものです。
 これ単独での入眠誘発効果は弱いです

実施方法

 おおよそ30分以内の短いもので、2~3個のリラックスする、楽しいアクティビティ(お風呂、更衣、歯磨き、2話程度のお話、歌やお祈り、マッサージ)を子供のベッドルームで、初めから終わりまで行う。

だいたい同じ時刻で、同じ順序で行う。

楽しいアクティビティは興奮させすぎないものにする。

子供がベッドタイムに移行しやすいように、両親は、言葉の合図(予告)を送るべきである。(あと5分でベッドタイムだよ。etc)

ベッドタイム表を作るのも有用である。この表には、それぞれのステップを記した絵が描かれている。(スナック、お風呂、2話の本、ベッド)

アクティビティが終わったら、各々の項目にステッカーを張る。

この方法を行えば、過剰な要求(もう一回しようなど)を押さえる効果がある。

なお、疳積をおこして儀式を拒否する場合は、ただちに終了し、ベッドへ移動させる。

Clinical Management of Behavioral Insomniaof Childhood: Treatment of Bedtime Problemsand Night Wakings in Young Children

最後に

全ての夜泣きに対してあやし続ける必要はありません。

(あやすことに親が疲れきってしまうと子供の情緒制御が不安定となり、さらに夜泣きを悪化させてしまうという事もありますし、不適切な時間に泣いて起きている事を肯定するような対応もしつけとしておかしいからです。)
放置する場合は、放置する時間(30分程度)を決めて対応する事が望ましい。

万策尽きた時どうするか?

 養育者の睡眠不足が蓄積され、不眠、イライラが出始めたら、まずは、小児科に相談を。

 もっとも改善するまで時間を要するのは、情緒制御不安定系の夜泣きです。しかし、基本的に、児の前頭葉は、期間が経てば発達してきますので、夜泣きは改善されてきます。
 それまでに重要な事は、養育者が睡眠不足からうつ病にならない事(自分一人で全部しようと思わず、助けを求める事)と、つねに、夜泣きがましだった時に何が違うか、児の気持ちで観察する事です。

どうしても大変な場合、漢方薬などを母児共に服用するなどの方法もあります。ご相談ください。

有用リンク

ISIS(the Infant Sleep Information Source:乳児の睡眠情報センター)

  1. 赤ちゃんの通常の睡眠
  2. 赤ちゃんが眠る場所
  3. ベッドに一緒に寝ること (ベッドの共有)と安全性
  4. 日中の睡眠(昼寝)でのスリングの 使用
  5. おしゃぶり、スワドリング(布で赤ちゃんを しっかり巻くこと)、赤ちゃん用寝袋(スリーパー)
  6. ねんねトレーニング(ネントレ)、 睡眠トレーニング
  7. 双子の赤ちゃんの睡眠

執筆歴

 当院副院長が夜泣きの見極めと対処法の普及に関する取材や出版に今までかかわってきた経過を列挙します。

月間情報誌ゼクシィ「赤すぐ」2010年7月号の特集

「赤すぐ」2010年7月号

本雑誌の『寝ない・泣きやまない!解消テク』の項の編集を依頼されました。赤ちゃんの泣いている理由を探る方法についての解説を担当しました。

赤ちゃんBonjour ach」 2012年2月

WEBマガジンです。
赤ちゃんが泣く理由についての解説を依頼され、担当しました。

小学館『BizLady(ビズレディ)』2014年10月

WEBマガジンです。
普通と違う注意すべき夜泣きについての取材をうけました。

「安眠レッスン」ナツメ社 出版 2014年7月

当HPの書籍化第一弾です。
とにかく、素人女性が見てわかりやすくする事に重点を置きました。難しい文献などは記載せず、わかりやすい表現で書きました。

Baby‐mo(ベビモ)』2015年春夏号

baby mo

企画名「寝かしつけのお悩み これで解決!」引き出し式4ページ
 ママたちの寝かしつけの悩みについて、取材を受けました。
 読者の方は1人目を育てている方が多く、先の見通しが持てずに不安になったり、育児を一人で抱え込んで疲れてしまったり、ネットなどで多くの情報に触れて何がいいのかわからなかったり、といった様子が見られます。
 そんなママたちの気持ちをフォローしながら、赤ちゃんの睡眠について解説し、寝かしつけの見通しやコツを教えてあげられる企画という事です。

CO・OP ステーション2015年6月号

兵庫県ローカルの雑誌です。夜泣きについて担当しました。

CO・OP ステーション2015年7月号

兵庫県ローカルの雑誌です。
朝起きれない子供の原因について取材受けましたので、解説しました。

PHPのびのび子育て2015年8月増刊号

PHPのびのび子育て

赤ちゃん夜泣きする本当の理由」のパートの取材を受けました。
多い情報量を6ページにうまくまとめてくれました。

教育月刊誌『灯台』2015年9月号

特集「快眠へのヒント」赤ちゃん夜泣き対策 について取材を受けました。もうすぐでます。

当HP書籍化第二弾 2015年10月

 PHP研究所 教育出版部から、当HP書籍化第2弾が2015年10月頃に出版の予定です。題名はまだ未定です。今度はやや指導者向けに、引用文献なども細かく書きました。保育園、幼稚園の先生、保健婦向けです。

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