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ポリオワクチン

ポリオとは?

 ポリオウイルスはエンテロウイルス属の一種で、患者の糞便や唾液から排泄され、他人の口へ侵入し、感染。多くは無症状で時に発熱、下痢を伴い、感染者1000人に1人が手足、体の筋肉の麻痺を起します。
 麻痺の多くは一旦回復しますが、40年後に再び麻痺の悪化を招き、ポストポリオ症候群(PPS)を発症します。

ポリオワクチンとは?

 ポリオによる麻痺に対して治療法は現在でもありません。よって、ワクチンによる予防が重要になってきます。
 ワクチンには生ワクチンと不活化ワクチンの2種類が存在します。

ポリオ生ワクチンとは?

 毒性を弱めたセービン株(Sabin)と言われる生きたポリオウイルスが3種類(1型~3型)含まれています。
1950年~1960年まで日本で流行が見られ、1960年の大流行時、ソ連から緊急輸入されそのまま定期接種となったワクチンです。

 接種した人間の腸内で増殖し、腸管免疫と血中免疫の2つを付けることができるほか、接種後60日間接種者の排便中に大量のウイルスが排泄され、周囲の人間にも2次感染し、ワクチンを接種していない人まで免疫をつけるという効果があります。

 短期的な効果が強く、流行阻止にはFirst choiceです※1が、希に毒性が復活し、接種者が麻痺をおこします。(ワクチン関連麻痺:VAPP, vaccine associated paralytic poliomyelitis) また、ワクチン接種した人の排便中で毒性復活したウイルスに近親者が二次感染して麻痺を起します。(Vaccine Derived Poliovirus:VDPV)そして、強毒化したウイルスが社会で蔓延して集団感染を引き起こします。(cVDPV:circulating VDPV)

 この2次感染させるという効果が、流行阻止に最も効果的に働く一方で、強毒化したワクチンウイルスが社会に蔓延するため、生ワクチンを一度開始すると、生ワクチンを止めることができなくなり、生ワクチンを止めないので、ワクチン関連麻痺(VAPP)が無くならないというジレンマに陥ります。

 厚労省はワクチン当初添付文書に記載されているとおり450万人に1人が麻痺を来すと発表していましたが、ワクチン麻痺がマスコミで注目されるようになったため、実際に副反応数を集計し直したところ、2011年10月に「100万人に1.5人」に修正しました。

※1:経口生ポリオワクチンは、国内ポリオ流行時は劇的な効果をもたらしました。その当時のパニック的流行については、こちらのリンクをご参照下さい。

不活化ワクチンとは?

ホルマリン処理によってポリオウイルスを殺し、無毒化したワクチンです。
生ワクチンのように、稀に麻痺を起すという副反応は全くありません。※2
免疫をつけるのに必要な回数を接種し終わるのに2~3か月かかるため、流行を早期に止めるのには不向きです※3が、長期の血中抗体獲得効果は生ワクチンより優れています。

  • 不活化ワクチンには使用するワクチン株によって2種類あります。
ワクチン株開発国実績毒性製造国免疫効果製造工場
使用開始年2012年での
接種人口
設備の厳格化危険性
ソーク株
(Salk)
アメリカ1955年6億人以上強毒外国高い高い高い
セービン株
(Sabin)
日本2012年1000人程度弱毒国産弱い低い低い

ソーク株不活化ポリオは強毒ウイルス株を扱うため、製造工場は高いバイオセーフティレベルを必要とします。もし、工場が何らかの原因で故障したりした場合、強毒ウイルスが排泄され、大問題を起こすリスクがあります。しかし、セービン株由来不活化ポリオワクチンの場合、そもそも生ワクチンで使用されている弱毒株を使用するため、そのような問題が低く、WHOは将来的にこのセービン株由来不活化ポリオワクチンを推奨しています。ただし、実用化している国はなく、今回2012年11月に世界で初めて日本が製品化して使用開始しますが、免疫効果が低いため、今後の接種計画に問題が残っています。※4※5


※2:1955年不完全なホルマリン不活化によってポリオの感染が1度だけ起こった事(カッター事件)がありましたが、その後の不活化処理の厳格化によって、以後同様の事件は発生していません。
※3:北欧諸国(スウェーデン、フィンランド、アイスランド、ノルウェイ)とオランダはソーク・ワクチンだけでポリオの排除に成功しています
※4:実用化までの治験数が少なく、免疫効果が弱いというところがまだ解決されていない可能性があります。
※5:昔国産不活化ポリオワクチンを作りかけて、途中で消滅に追い込まれた経過についてはこちらのリンクが詳しいです。

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